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シリーズ白岡遺産4『白岡遺産ストーリー3』

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埼玉県白岡市

■新田開発と川の立体交差

白岡市全体に勾配の緩い土地柄です。特に水田地帯では、4,000分の1といわれる(4km進んで1m下がる)緩傾斜であることに加え、排水の悪い河川後背湿地や沼地が多いこと、さらに大山地区などでは埋没ロームの存在が排水問題に拍車をかけてきました。
市域の近世以降の歴史は、河川改修と新田開発の歴史といっても過言ではありません。各用排水路はもちろん、これに伴う樋管、圦樋、堰、橋などの構造物のほか、新田開発や災害、争論の様子などを示す古文書類、争論の裁許状や裁許絵図などが残り、水の恵みと災いにかかる地域独特の状況が浮き彫りにされます。歳月を重ねながら、人々が知恵を出しあって折り合いをつけてきた結果、多数の用排水路が網の目のように配され、ところどころで、水路が立体交差する状況も生じました。サイフォンの原理を用いた「伏越」や掛渡井を用いた「背越」などの構造は、開削はもちろんその後の管理にも大きな労力が必要でした。市内には、こうした川の立体交差が柴山伏越をはじめ9か所知られています。
苦労して開発した新田ですが、農民は大水や長雨による水損にも苦しめられています。田が水につからないように堤を築いたり水口を開閉したり日常の管理が重要でした。ひとたび出水すると、堤の上郷と下郷との間で堤を切るか切らないかの騒動が持ち上がりしばしば争論となりました。こうした争論に関する絵図や裁許状も当時の水利を知る上での貴重な資料です。
排水路を掘り、後背湿地を切り拓き美田に変える作業の裏側には、先人たちの苦労の歴史がありました。各用排水路の開削の結果生じた「川の立体交差」は、この地域の自然風土と人々の知恵との結晶だということができるでしょう。

主な関連文化財:群柴山伏越、三十六間樋管、二十六間樋管、伏越橋、庄兵衛堰枠(市指定)、白石様堀、見沼代用水、黒沼用水、笠原用水、隼人堀川、姫宮落川、備前堀川、庄兵衛堀川、山城堀、新堀、白岡村小久喜村千駄野村水口争論裁許状(細井家文書)、白岡村新宿村水除堤争論裁許状(細井家文書)、堤土置争論裁許状(田口家文書・市指定)、富士庫家文書、鬼久保家文書(市指定)、細井家文書、澁谷家文書(市指定)

問合せ:生涯学習課文化財保護担当
内線522

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