◆第43回 石造物紹介(7) 月待塔
月待塔(つきまちとう)とは、月待講(つきまちこう)と呼ばれる特定の月齢(げつれい)※の夜に人々が集まり、神仏に祈りをささげ仲間とともに飲食をしながら月が出るのを待つ行事を行ったしるしに建てられた塔のことです。
月待塔は十三夜から二十九夜までの各夜のものが見られます。最も一般的なものは二十三夜塔で、全国的に普及しています。その他の塔は各地域に広く点在して、神川町内では二十二夜塔が多く見られます。この塔には、如意輪観音(にょいりんかんのん)の像や二十二夜の文字を刻む文字塔があります。二十二夜塔は埼玉県北西部や群馬県の中・西部に多く分布しています。町内ではほとんどが江戸時代のもので古くは寛永(かんえい)9年(1632)のものが残されています。
如意輪観音は女性の守り仏と考えられ、女性だけの月待講も行われていました。現代風に言えば真夜中に月を待つ女子会が開催されていたと言うことです。
日常の風景に溶け込んでいる石造物には、今回紹介したような月を眺めて祈りを捧げ、仲間と語らいながら親交を深めてきた人々の姿が宿っているのかもしれません。中秋の名月がある9月の夜に月を眺めながら江戸時代の人々の暮らしに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
※月齢…月が見えなくなる日(新月)を0としてそれから何日経過したかを表しています。十五日前後で満月となります。
問合せ:生涯学習課 文化財担当
【電話】0274-52-2586【FAX】0274-52-2586
<この記事についてアンケートにご協力ください。>