市では、市内中小企業と理化学研究所(理研)発のNPO法人VCADシステム研究会や理研の研究者と連携する「秩父理研発NPO組織との先端技術推進(CRAT)プロジェクト」を発足しました。全国の自治体で初の取り組みとなります。このプロジェクトにより、地域内企業の先端技術の推進を後押しするとともに、付加価値のある新商品の開発や更なる事業の進展を官民連携で目指していきます。
■「理研」という組織
理研は、国内に9か所、海外に4か所の拠点があり、本部が県内の和光市にあります。国内のみならず海外からも多くの研究者が集まり、3千人以上の職員と研究者が働いている大きな組織です。また、日本で唯一の自然科学の総合研究所として、物理学、工学、化学、数理・情報科学、計算科学、生物学、医科学などに及ぶ幅広い分野で研究が進められて、まさに日本の最高峰の研究機関です。
近年では、理研が開発したスーパーコンピューターの「京(けい)」、その後継機の「富岳(ふがく)」が世界一の計算速度・能力があるとして、国内外で大きく報道されました。また、百年以上前のビタミンの発見も理研研究者による世界的な功績の一つです。身近なところでは、理研が開発した特許技術を応用し、花王が洗濯用の洗剤として実用化した「アタック」、スズメバチの幼虫の分泌液の効能を発見し、明治が発売したスポーツ飲料の「VAAM(ヴァーム)」も理研が関係した商品となります。
また、中学校の理科で習う「元素周期表」の113番目の元素「ニホニウム」も理研研究者が発見したものです。新元素を発見し、その命名権が与えられたのは欧米諸国以外では初めての快挙でした。
■これまでの秩父市と理研との関係構築
理研関係者を招いて実施した「特別講演会」には多くの市民、企業の皆さんに参加していただきました。
昨年3月の(株)理研鼎業(りけんていぎょう)(現・(株)理研イノベーション)社長の油谷好浩(よしひろ)氏の講演会では、理研の紹介とともに、理研が目指す中小企業との連携についてご講演いただきました。
今年3月に開催したNPO法人VCADシステム研究会の理事長であり、理研研究員の和田智之(さとし)氏の講演会では、理研と中小企業との連携について、農業から宇宙、水素エネルギーといった幅広い分野における科学技術を基にした産業連携について、事例紹介を交えてご講演いただきました。
今年度も第3弾となる特別講演会を開催する予定です。
■CRATプロジェクトでの連携の経緯(Chichibu Riken Advanced Technology-Project)
◇秩父市
市内企業がVCADシステム研究会や理研の研究者と恒常的な勉強会や情報交流会でのマッチングの機会を創出し、共同研究、共同開発の成果の実装と事業化が図れる仕組みを作り、中小企業の先端技術分野への進出を促進したい。
◇VCADシステム研究会
理研の研究者の研究テーマや研究成果を、大学機関や大企業だけが受けるだけでなく、国内の企業数で99%を占める中小企業との連携する機会を創出することで、社会への実装と実用化の機会につなげていきたい。
両社の意向がマッチ!
問合せ:先端技術推進課
【電話】21-5522
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