健康ナビ

16／47

■自然免疫と獲得免疫
「免疫」とは、細菌やウイルスや癌細胞などの「非自己」の異物から、自分たちの体「自己」を守るシステムです。免疫には自然免疫と獲得免疫に大別されます。自然免疫は「自己」と「非自己」を見分けて処理する能力、獲得免疫は自然免疫が認識した異物を記憶し、2回目の発症を防ぐ働きがあります。大雑把なイメージとしては、小児では自然免疫∨獲得免疫、20-30代で両方ともピーク、その後高齢になるにつれて両方とも低下していきます。
インフルエンザウイルスは幼少期にほとんどの人が感染し高齢者でも獲得免疫がある程度働くため、重症化は比較的少ないとされています。一方で新型コロナウイルスは、小児も高齢者も初めて目の当たりにする歴史の浅いウイルスであるため、共に獲得免疫の出番は少なく、自然免疫に頼らざるを得ません。自然免疫の少ない高齢者はウイルス処理速度が遅く、重症化しやすい傾向です。また、癌細胞は常に一定の流れで発生しては自然免疫で処理されているのが一般的です。高齢になると悪性疾患が発症しやすくなるのはこのためだと考えられています。
生涯にわたり免疫機能を低下させず十分に保つ必要があります。そのためには、栄養バランスのよい食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスをかけない生活が重要です。
医師　渡辺崇