■ピロリ菌を除菌したあとのフォローについて
ピロリ菌が胃の粘膜にすみつくと、胃の粘膜に炎症を引き起こし慢性胃炎の状態となります。そして加齢とともに徐々に胃炎が進行していき、いわゆる萎縮性胃炎という状態となり胃がん発生の危険性が高まることがわかっています。
ピロリ菌を除菌することで、胃がんの発症が抑制できることが明らかになっており、みなさんのまわりでも除菌治療をされた方は多いと思います。
しかし、ピロリ菌を除菌すればもう胃がんにはならないと考えるのは誤解です。除菌で胃がん発生の危険性が下がることは確かですが、ゼロにはなりません。さらに、ピロリ菌除菌前の胃炎の状態が進んでいた方ほど除菌後も胃がんのリスクはより高く残ります。
ピロリ菌の除菌により胃がんの発生や死亡率を減らす効果が期待される一方、除菌が成功して安心し、胃がん検診を受けなくなるケースがあり問題となっています。除菌が成功しても、特に萎縮性胃炎を指摘されている場合はより注意が必要であり、ピロリ菌除菌後にも定期的に内視鏡検査を受けることが極めて重要です。
医師 渡邉俊一
<この記事についてアンケートにご協力ください。>