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輝いてます ひと

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埼玉県蕨市

彫刻家 阿部 昌義(あべ まさよし)さん

■その手が映しだすものは
「彫刻家として、蕨の芸術文化の発展を手助けしたい」。そう語るのは阿部昌義さん(57歳・北町2丁目)です。阿部さんは埼玉県公募美術展覧会で過去に県知事賞、教育長賞、議長賞を受賞し、その実績から「委嘱作家」に。そして今年出品した「翳(かげ)り」が、委嘱作家の最高賞である県美術家協会会長賞を受賞しました。
幼少期から大工の叔父さんが家を作り上げる姿に憧れていた阿部さん。物づくりへの愛着と好奇心から、自然と構想する力が身に付いていました。高校2年生の冬、先生にその才能を見いだされ、美術大学の受験を勧められます。絵画にも興味があった阿部さんですが、ふと、鑿(のみ)を手に誰かの「想い」を形にする叔父さんの姿が思い浮かび、彫刻科への進学を決意。大学院まで基礎を学び、卒業後は現代彫刻美術館の学芸員として勤務しながら、繊細な表現を探求していきます。本格的な制作の拠点を探していた時、偶然立ち寄った蕨市展で美術を通じた人のつながりに感激し、平成26年、蕨市に自宅兼アトリエを構えることにしました。
学芸員の仕事の傍ら、年間10点ほどを生み出す阿部さん。
「作品からストーリーや景色を自由に感じてほしい」という思いを込めながら、粘土を削っては足しを繰り返し、指先の感覚が納得するまで突き詰めていきます。制作に4か月を要した力作「翳り」で表現したのは、日々の不安や心配、世の中の震えを敏感に感じ取る女性です。優しく握られた手に目を落とし、その中に思いをはせる。その、さりげないしぐさに情景を託しました。彼女の手の中にあるものは―。
「創作意欲とカタチの追求に終わりはありません」。阿部さんの作品は、鑑賞する人一人ひとりの「想い」をいつまでも映し続けるでしょう。

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