白杖を持ったナース 笹川 静子(ささがわ しずこ)さん
■困難を乗り越え支える人に
「障害があっても自分らしく、人の役に立ちたい」。笹川静子さん(62歳・塚越7丁目)は、視覚障害がありながらもその経験を生かし、さまざまなボランティア活動を行っています。
看護師として病院や看護学校で働いてきた笹川さんですが、進行性の難病で視力が低下し、仕事を続けられなくなりました。視力が奪われていく絶望の中で、同じ看護師として働く娘から掛けられた「一番尊敬している看護師はお母さんだよ」との言葉に勇気づけられ、「目が見えなくてもできることがあるはず」と自分を奮い立たせました。
視力が低下して一番困ったのは、情報を取得すること。受けられるサービスが分からず、もどかしい思いをしました。そんな思いをする人を減らそうと、情報共有の場を増やすことに力を注ぎます。患者会で医療情報を共有し、また視覚リハビリ訓練施設で出会った仲間と作ったサークルでは、ヨガや手料理を楽しみながら、気軽に情報交換できる場を提供しています。
更に看護師の経験を生かして、公民館で健康相談を受ける活動に参加すると、評判を耳にした視覚障害のあるかたが笹川さんを訪れるように。訓練施設で学んだ白杖(はくじょう)の使い方や同行援護のサービスなどを伝えると「出かける機会が増えました」と喜ばれ、やりがいを感じています。
活動は更に広がり、今月16日には南公民館で視覚障害をテーマに、訪れた人と気軽に話をするイベントを開催予定です(15ページ情報ダイヤル参照)。「活動を支えてくれる人への感謝の気持ちを忘れず、私も誰かを支えることができたらうれしい」と笹川さん。彼女の明るく生きる姿は、これからも多くの人を励まし、勇気づけていくことでしょう。
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