天才絵師の作品蕨にあり ─No.98─
■暁斎筆「月に二羽の杜鵑」 紙本墨画 軸装
杜鵑(ほととぎす)は夏の訪れと共に渡来し、独特な鳴き声をすることから、古来和歌や俳諧などに詠まれました。清少納言(せいしょうなごん)は鶯(うぐいす)より杜鵑を好んだことで知られており、『枕草子』の中で、夜鳴くことをその理由に挙げています。本図は満月と、羽ばたく二羽の杜鵑が描かれています。嘴(くちばし)を開けた右の一羽からは、甲高(かんだか)いさえずりが聞こえてくるようです。暁斎は夜空の中で鳴く杜鵑を、墨の濃淡のみにて描き、古典の中で愛された杜鵑の姿を余すところなく表現しています。
※本作品は現在の展覧会で御覧いただけます
河鍋 暁斎(かわなべ きょうさい) 天保2年(1831)~明治22年(1889)
現在の茨城県古河市に生まれる。浮世絵や狩野派を学び、江戸・東京の庶民から人気を博す。明治9年、万国博覧会に肉筆画を出品。14年、内国勧業博覧会で日本画の最高賞受賞。娘の暁翠も日本画家。
■河鍋暁斎記念美術館 開催中
企画展「暁斎・暁翠 いきもの美術館」展
同時開催 特別展「第38回かえる」展
開館:午前10時~午後4時
場所:南町4-36-4
休館:火・木曜日、26日~末日
入館料:一般600円、高校生・大学生500円、小・中学生300円、65歳以上500円
※65歳以上は年齢の分かる物、学生は学生証のご提示を
詳しい内容は美術館のホームページを御覧ください
詳細:同館
【電話】441・9780
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