ピアニスト 黒崎 拓海(くろさき たくみ)さん
■クラシックへのあくなき献身
曲への深い理解に裏付けられた、美しい音色を奏でるピアニスト・黒崎拓海さん(30歳・中央5丁目)。来月2日にくるるのコンサートに出演します(本紙お知らせ版8ページ)。
北海道旭川(あさひかわ)市で生まれ、5歳の時に兄たちの影響でピアノを始めた黒崎さん。地道な練習を重ね、曲を習得していく喜びに、夢中でピアノと向き合いました。中学生からはプロのピアニストに師事し、クラシック音楽の世界に深く魅了され、音楽の道へ進むことを決意。努力の末、みごと東京藝術大学に進学するものの、全国から集まった精鋭たちの実力に圧倒され、不安に押しつぶされそうになります。
そんな折、世界的ピアニストの原田英代(はらだひでよ)さんに師事するチャンスが舞い込みます。厳しいレッスンの中で、演奏技術はもちろん、作曲家が人生をかけて曲にこめた気持ちや情景などの人間ドラマをピアノで表現し、聴く人の心に届ける力を追い求めました。その探求の日々が黒崎さんの才能を開花させ、同大学院修士課程を首席、本場ドイツのワイマール・フランツ・リスト音楽大学院修士課程を最高点という輝かしい成績で卒業。卒業後は、日本各地でのコンサートに加え、ドイツのウーゼドム音楽祭では恩師の原田さんと共演し、好評を博すなど、国内外で活躍しています。
学生時代に市のイベントに出演したこともある黒崎さん。来月2日のコンサートではプロとして舞台に立ち、数々のピアノの名曲を披露します。その中でも、ゲストと演奏するフランクの「ピアノとヴァイオリンのソナタ」は30分に及ぶ高難度の曲。まさにクラシック一筋に人生をささげてきた黒崎さんの音楽への情熱を体現できる楽曲です。その調べは、聴く人の心に生き生きと物語を映し出すでしょう。
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