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【特集】外来種を知る(1)

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埼玉県行田市

本来、その地域には生息していなかったが、人間の活動によって意図的・非意図的に持ち込まれた生物を「外来種」といいます。近年、外来種の一部が在来の自然環境や野生生物に深刻な影響を及ぼしています。
今月の特集では、外来種が引き起こす問題や市内に生息する特定外来生物などを紹介し、その対処方法などについてお伝えします。

■外来種が引き起こす問題
外来種の侵略性により、生態系などで被害が発生することを「外来種問題」といいます。外来種の問題は深刻で、被害は大きく3つに分けられます。
1つ目は、生態系への被害です。在来種(元々その地域にいる生き物)が追いやられるなど自然のバランスが崩れてしまうことがあります。2つ目は、人の健康への被害です。毒を持っていたり、かまれたりすることにより、私たちの健康に危険が及ぶことがあります。3つ目は、農林水産業への被害です。野菜や果物、漁業の対象となる魚などの生き物が食べられ、私たちの生活に影響を与えることがあります。

■特定外来生物とは
外来種による影響に対応するため、国は外来生物法に基づき、外来種の中から「特定外来生物」を指定しました。特定外来生物とは、生態系、人の生命・体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、または及ぼす恐れがあるもので、個体だけでなく、卵、種子、器官なども含まれます。指定された生物は、輸入、放出、飼育、譲り渡しの禁止といった厳しい規制が掛かります。

■外来種による被害
▽生態系に係る被害
・捕食(在来種を食べること)による希少動物の減少
・在来種との生息域・餌などのさまざまな競合
・外来種に随伴して侵入した寄生生物などによる被害の恐れ

▽農林水産業に係る被害
・アライグマなどによる農産物の食害
・外来植物の農地や農業用水路などへの侵入による営農活動の阻害
・水草による用水路などの通水阻害

▽人の生命または体に係る被害
・セアカゴケグモ、カミツキガメ、ヒアリ、タイワンハブなどによる咬傷(こうしょう)などやその恐れ

▽その他の被害
・アライグマなどの糞害・入り込みによる文化財汚損
・外来水草類の大量発生・枯死(こし)後の悪臭
・オオキンケイギクなどによる自然景観の変容

■市内で発見された特定外来生物
▽アライグマ
原産地:北アメリカ
市内各地で確認
頭から胴までの長さは、42センチメートルから60センチメートル(成獣)。尾には、しま模様、目の周りに黒いマスク模様があります。雑食性で小型の哺乳類、野鳥とその卵、魚類、両生類、は虫類、昆虫類、果実、野菜、穀類などを食べます。市内では、農作物の被害や騒音、家屋での糞尿被害などが確認されています。
見掛けましたら、アライグマ用の捕獲機を貸し出します(本紙5ページ参照)ので環境課までご相談ください。

▽クビアカツヤカミキリ
原産地:中国、台湾、朝鮮半島、ベトナム
市内各地で確認
体長は25~40ミリメートルで胸部が明赤色。木の幹や枝の樹皮の割れ目に産卵し、幼虫は生木の内部を摂食し、2~3年かけて成長します。
サクラ、ウメ、モモ、スモモなどを中心とした多種の樹木を加害し、枯死、落枝、倒木などの大きな被害をもたらしています。市では、クビアカツヤカミキリから樹木を守るため、クビアカツヤカミキリの防除についての出前講座(本紙5ページ参照)を実施しています。

目印はフラス!
クビアカツヤカミキリが寄生した樹木は、「フラス」と呼ばれる木くずとふんが混ざったものが溜まっています。

▽オオキンケイギク
原産地:北アメリカ
市内各地で確認
5月中旬から7月にかけて、道端や河原などで鮮やかな黄色の花を咲かせます。繁殖力が強く、在来種を駆逐し辺りの景観を一変させてしまう性質を持っているため、庭などで生えているのを見かけたら、根から抜き取り、2日程度天日干しにして枯死させ、燃えるごみとして廃棄してください。

▽オオクチバス
原産地:北アメリカ
星川流域、北河原地区で確認
通称ブラックバス。体長は30~50センチメートルで口が大きく体の側面には不規則な斑紋があります。動くものは何でも捕食するため、昆虫、魚類、貝類などさまざまな在来種が食べ尽くされ、生態系に影響を及ぼしています。

■注意すべき特定外来生物
いずれも県内で確認
▽ヒアリ
原産地:南アメリカ
体長2~6ミリメートルで赤茶色のアリ。国内で平成29年に初めて確認されました。刺されると、アルカロイド系の毒によって、非常に激しい痛みを覚え、水疱(すいほう)状に腫れます。さらに毒に対してアレルギー反応を引き起こす例が北米だけでも年間で約1,500件起こっています。
まん延した場合、著しく重大な生態系などに係る被害が生じ、国民生活の安定に著しい支障を及ぼす恐れがある生物として「要緊急対処特定外来生物」に指定されています。

▽ツヤハダゴマダラカミキリ
原産地:中国、朝鮮半島
体長は20~35ミリメートル。在来種であるゴマダラカミキリと似ていますが、ツヤハダゴマダラカミキリは胸部に白紋がありません。クビアカツヤカミキリ同様、幼虫が樹木内に侵入し樹木内部を食害することで、樹が懐死し、倒木などの危険が生じます。

▽セアカゴケグモ
原産地:オーストラリア
体長は5ミリメートル~1センチメートル程度で雌は背面と腹部に赤い模様があります。雌は強い毒を持っており、咬(か)まれると、痛みや腫れを引き起こし、まれに吐き気や腹痛など重症化することもあります。咬まれたときは、速やかに医療機関に相談してください。

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