新春対談 行田市栄誉賞 江利川 毅さんに聞く(1)

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行田市長　行田邦子(こうだくにこ)　×　行田市栄誉賞　江利川毅(えりかわたけし)氏

今年度新たに創設した行田市栄誉賞の初代として表彰された江利川毅さん。今回の新春対談では、江利川さんに行田市での思い出やこれまでの歩み、これからの行田市に期待することなどをお聞きしました。

■プロフィール
昭和22年生まれ。熊谷高校卒業まで行田市に在住。東京大学法学部を卒業後、厚生省に入省。公害問題への対策、年金・医療保険制の改正、介護保険制度の創設などに取り組む。
また、内閣府、厚生労働省の二府省で事務次官を務めた他、人事院総裁を歴任。退官後は埼玉県立大学理事長、埼玉医科大学特任教授などの要職を務め、現在は公益財団法人医療科学研究所相談役。

■江利川毅さんの歩み
◇昭和22(1947)年
・行田市で生まれる
・東小学校、長野中学校を卒業

◇昭和45(1970)年
・東京大学法学部卒業後、厚生省へ入省

◇昭和60(1985)年～
・内閣官房内閣参事官、厚生省大臣官房審議官(年金担当・老人保健福祉担当)、厚生省高齢者介護対策本部事務局長などを歴任

◇平成10(1998)年
・内閣官房首席内閣参事官に就任

◇平成16(2004)年
・内閣府事務次官に就任
中央省庁再編や構造改革の推進に尽力

◇平成19(2007)年
・厚生労働事務次官に就任
年金記録問題、新型インフルエンザ感染症対策、社会保険庁の廃止や日本年金機構の設立などに取り組む

◇平成21(2009)年
・人事院総裁に就任
東日本大震災への対応や人事院勧告の完全実施(内閣・国会への対応)、幹部研修の充実などに取り組む

◇平成24(2012)年
・(公財)医療科学研究所理事長に就任

◇平成29(2017)年
・瑞宝大綬章　受章

◇令和6(2024)年
・(公財)医療科学研究所相談役に就任
・初代の行田市栄誉賞として表彰

■行田での思い出
行田邦子市長(以下「市長」)：本日は、行田市栄誉賞第1号の江利川毅さんについて、多くの市民の皆さまに知っていただけるよう、このような対談の場を設けさせていただきました。
さっそくですが、江利川さんは行田市のご出身ということで、行田での思い出などお聞かせいただければと思います。

江利川毅さん(以下「江利川」)：東小6年生のときに、助け合い作文コンクールで埼玉県知事賞をいただきました。担任の先生からアドバイスをもらいながら、障害のあるクラスメートとの交流を書いたものです。父に連れられて、名誉市民の大澤龍次郎さんにご挨拶に行きましたら、お祝いに、厚さ10センチくらいある広辞苑をいただきました。父から助言されて、その広辞苑に担任の先生に記念の言葉を書いていただきました。『広い地球の中で、長い歴史の流れの中で、君という人間はただ独り。自分を大切に、自分を生かして』。とても感銘を受けました。その広辞苑は今でも大切にしています。高校、大学、社会人と、それぞれの時期にいろいろな壁にぶつかるのですが、先生からいただいたその言葉に何度も励まされました。

市長：子どもの頃にいただいて忘れられない言葉、自分の後の人生の支えになる言葉がありますよね。
東小学校のご出身ということですが、先日、東小の子どもたちと能登半島応援給食を一緒に食べました。江利川さんの後輩たちは可愛らしくすくすく育っていました。中学校は長野中学校でいらっしゃいますよね。

江利川：長中の校歌に「麦の穂の夢」という歌詞があります。主食の「米=稲」でなくてなぜ麦なのか、疑問に思い先生に質問しました。先生は「麦は、麦踏みで何度踏まれても、負けずにすくすく育っていく。困難に負けずに真っすぐ育って欲しい、そういう願いが込められている」と話してくれました。今でも、いい校歌だと思っています。
中学2年生のときですが、同じクラスに、少し不良っぽいけど本当は悪くない、そんな人が2人いました。2人を我が家に呼んで一緒に勉強しました。2人ともぐんぐん伸びました。2学期の期末テストでそのうちの1人に私が抜かれてしまいました。彼は非常に喜んでいましたし、自信もつけたと思うのです。もう一人は、3年生の1学期の通信簿でオール5を取ったと報告に来ました。彼は家が貧しかったため中卒で就職しました。やるせない思いがしました。

市長：ちょっとしたことで子どものやる気は変わりますし、それが後々にも影響していきますから、学校教育は大変重要です。江利川さんは、学校の優等生だったにもかかわらず、自分と境遇や家庭環境が違う子とも一緒に勉強されたんですね。
学級委員や生徒会長などをされるタイプだったのでしょうか。

江利川：私は学級委員も生徒会長もやりました。運動でも勉強でもみんなの手本になろうと、何にでも意欲的に取り組みました。鉄棒や縄跳び、マラソンが得意でした。でも、軟式テニス部にいたのですが、県体には出場できませんでした。運動では残念な思い出の方が多いです。