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市長コラム 新しい行田へ

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埼玉県行田市

■第16回「「南河原スリッパ」~伝統を守るためのイノベーション~」
行田市発のブランドといえば、皆さんは何を思い浮かべますか?いくつかある中で、近年、ブランド化に成功したのは、何といっても「南河原スリッパ」だと思います。従来のスリッパのイメージを刷新したことでメディアにも取り上げられ、2022年の商工会全国大会「中小企業庁長官表彰」、2023年「21世紀商工会グランプリ」と、全国トップ賞を受賞しました。
戦後に始まった南河原のスリッパ産業は、最盛期の1980年には国内製造の約3割を占め「日本一」を誇っていました。地域の9割ほどの世帯が何らかの形でスリッパ製造に関わるという、南河原を代表する地場産業に成長したのですが、その後安価な海外製品に押されて製造が激減し、南河原スリッパは存続の危機に瀕していました。このような中、2017年、商工会に立ち上がったのが「地場産業復興 南河原スリッパプロジェクト」でした。弱点を強みに変えるなど試行錯誤を繰り返し、たどり着いたのがカラフルなアフリカ産バティック生地、しかも左右の柄が違うスリッパ。昔ながらのスリッパの型は変えずに生地を大胆に変える、地場産業を守るための発想の転換、まさに伝統を守るためのイノベーションが、南河原スリッパをブランドとして蘇えらせたのです。
古き良きものを守り、歴史や伝統を受け継いでいくためには、時代や社会の変化に合わせて、変えるべきところは変える、不断のイノベーションが必要だと思います。産業も文化も建物も、そして地域社会も、何も変えずにそのままにしておけば、良さを維持できないばかりか、朽ち果ててしまいます。伝統を守ることはたやすいことではありませんが、それは長い歴史を持つ地域に課せられた使命であり、また、誇りでもあると思います。
今、市長室でこの原稿を書いていますが、足元はバティック柄のサンダル型、ほどよいヒールで足にフィットするのでお気に入りです。自宅では、新年からは藍染めスリッパが仲間入りしました。今年、南河原村が行田市に編入されてちょうど20年目を迎えました。伝統地場産業を地域の手で蘇らせたブランド「南河原スリッパ」の軌跡をあらためて誇りに思います。
行田市長 行田邦子

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