1月16日(木)、茨城県境町の橋本 正裕(はしもとまさひろ)町長が鳩山町を訪れました。境町は住みたい田舎ベスト1位で、移住者が増加しているとして、全国的に注目されている自治体です。今月号では、小川町長が橋本町長にまちづくりについて、お話しを伺いました。
・茨城県境町長 橋本 正裕
・鳩山町長 小川 知也
小川町長:お忙しいところ、対談の機会をいただき、ありがとうございます。
町長に就任してから、「日本一幸せを実感できるまち」を目指して、取り組んでいるところです。橋本町長には、政策的な面でご助言をいただいており、感謝申し上げます。
◆マネジメントとマーケティングが重要
小川町長:首長として、自治体のマネジメントという観点で、日頃から「意識していること」、「こうすれば町がよくなる」といったコツがあれば教えていただきたいです。
橋本町長:これからの自治体は、マネジメントとマーケティングが重要だと考えています。特に、マーケティングをしっかり行い、それに向けて政策を実施することが大切です。
企業はガバナンスやマネジメントを大切にし、マーケティングを行って事業を実施しています。これからの自治体はそこをしっかりやらないといけません。人口も減り、高齢化率も上がり、社会福祉費も上がりますから、現状のままでは役場の事務が回らなくなります。そこをしっかりと考えてやれれば、自治体の発展に繋がると思います。
小川町長:橋本町長が行っている政策や取り組んできたことを分析させていただく中で思ったのが、思考が民間企業、会社経営の考えを持っているという点です。資金調達という観点とコストコントロールという観点の両輪を回していると思っていて、この2つをどう意識しているのかお聞きしたいです。
橋本町長:今まで行政は投資をしても、費用対効果を考えないし、回収も考えていませんでした。
例えば、「道の駅」を作ったことによって、20億円かかりました。そこで、「雇用や経済効果がこれだけ生まれた」で終わりにするわけです。実際には、20億円かけたら20億円回収しなくてはいけないのに、行政は今まで、投資しただけでやってきてしまっていました。
計画もそうですよね。国や県の上位計画に沿って、町の計画があって、それに沿って、政策を行っていくわけです。今までの考え方では、総合計画が自治体の設計図であって、それに向けて政策を実施していきますが、私はそれは逆で、いろいろなことをやっていく中で、総合計画を変えていけばよいと思っています。
また、スピード感や改革したいという強い思い、その意気込みは良いと思います。しかし、そこに住民や議会、職員がついてきているかが重要です。やはり、住民・議会・職員がついてきてこそスピードアップができます。それには、説明責任を果たし、マネジメントやマーケティングをしながら、政策を行っていくのが重要だと思っています。
小川町長:ありがとうございます。住民や議会との連携・協力が大切だと感じました。
私は、橋本町長が住民の声を聞き、すぐに応えるというスピード感が素晴らしいと思っていました。話をお聞きして、現場目線、住民目線、そして常にマネジメントを意識しているというのが、橋本町長の強みであると感じました。
橋本町長:私たちからすれば、目の前にあることを目の前で解決しないと意味がないと考えています。
境町は2万4千人の小さい町ですから、事務の効率なども踏まえて、職員の異動期間や働き方も変えました。今までは3年くらいで部署を異動するのが普通でしたが、全然違うところでまた一から仕事を覚えるのは非効率的ではないですか。その道のプロフェッショナルがいた方が実は効率的で働きやすかったりするわけですよね。人事異動のとき、一般事務のところは能力だけではなく、人柄なども考慮した人事配置を行っています。その方が、組織自体のマネジメントがしっかりできていくのではないかと思っています。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>