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〜つなぐ〜中津市長 奥塚正典

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大分県中津市

■桧原マツ
耶馬溪町の桧原山に鎌倉の昔から伝わる伝統行事「桧原(ひばる)マツ」、毎年4月の第2日曜日、中腹にある正平寺で行われます。今年は4年ぶりに有客での実施となりました。
行事は、1週間前の中津の浜での「汐汲み」から始まり、当日は「お下り」、法要の後、ホラ貝の響きを合図に薙刀(なぎなた)を持った白装束の僧兵を先頭に3基の神輿(みこし)が下宮から本堂へ駆けあがる「お上り」、最後に多くの客を前に五穀豊穣を祈る「御田植式」となります。この儀式、「水止め」から「種蒔き」まで稲作の一連作業を、山麓の信者たちが白装束・草鞋(わらじ)履きに、編み笠を深くかぶり、古式にのっとり演じます。神輿前での作法の後には、観客とのユーモアたっぷりのかけ合いや所作あり。例えば、「代掻(しろか)き」では牛引き役が暴れ牛に手を焼き、飼い葉桶を持った妊婦が登場、餌を与えるなど熱演が続きます。会場大爆笑。
ふと、幼い頃の田植え作業を思い出しました。当時、農家は牛馬を飼って農作業を行っていました。田を鋤で粗起こし後使う農具に「飛行機モーガ」がありました。その名のとおり、翼状に両開きする木製枠に多くの刃が下向きに伸びた農具で、牛馬に引かせて土塊を細かく切り崩し田を平らにします。これに子どもが乗ると適当な重みがかかり効果が増します。牛馬に蹴られはしないかと少し怖いのですが、子どもには楽しい手伝いになります。昭和30年代前半までの田植えは、7百年前の桧原マツとあまり変わらず、牛馬や人力が頼りでした。となると、この60年余の間に農業の機械化が大きく進んだことになります。
名人芸の牛引き演者とのかけ合い、「代掻きは重労働、トラクターがほしい」との要望に、「エアコン付きを買いましょう」と笑顔で応じました。でも県無形民俗文化財の「桧原マツ」、やっぱり牛の方がいいですね。

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