■鰮(いわし)の気持ちになった人
みなさん、金子みすゞという詩人をご存じですか。「私と小鳥と鈴と」という詩の作者です。この詩の「みんなちがって、みんないい」の部分は特によく知られていて、あなたも私もすべてのものも、それぞれ違うけれど、それぞれあるがままで尊い存在だよ、と教えてくれているようです。
金子みすゞは、現在の山口県長門市仙崎に生まれました。仙崎は日本海の良港で、大正期頃まで捕鯨が行われていました。鯨漁で潤う人々は、生計のために生き物の命を奪うことへの償いと感謝の気持ちを忘れませんでした。時には、お腹に子どもがいる鯨が捕まります。人々は、胎児の鯨に戒名を付け、鯨墓に葬りました。この鯨墓には、70数頭の鯨が眠っているそうです。また、鯨法会といって捕った鯨への感謝の気持ちを捧げ、慰霊する法要が今でも行われています。
書店の娘として育ったみすゞは、本に囲まれて感性を磨き、命を大切にする仙崎の風土に育まれ、すべての命を同等に慈しみました。26歳の若さで亡くなるまでの512編に及ぶ詩作は、西條八十から「若き童謡詩人の中の巨星」と称えられました。仙崎生まれのみすゞには、海の生き物の気持ちになった詩がいくつもあります。その1つを紹介しましょう。
※詩は本紙をご覧ください。
鰮を召し上がる時はこの詩を思い出して、おいしくいただいてください。
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