このコーナーでは、学芸員が一押しの文化財や絵画資料などを紹介します。
■新羅系軒丸瓦
三光西秣の塔ノ熊廃寺で出土した奈良時代後半の瓦です。軒先に使用された軒丸瓦(のきまるがわら)で、渦状の文様を周囲に巡らせ、2枚1組の花弁が8組ついた蓮華を中央に配しています。これは、新羅系(しらぎけい)の渡来人由来とされる文様で、豊前地域を中心に興隆しました。本来の新羅系の軒瓦文様は、周囲に唐草文が廻りますが、塔ノ熊廃寺のものは、渦状に簡略化されています。上毛町の垂水廃寺からも、渦が左右反転した同文様の瓦が出土しているので、簡略化された文様が垂水廃寺に伝播し、さらに左右反転して塔ノ熊廃寺に至ったと考えられます。古代における技術の伝播を示す資料です。常設展で展示していますので、ぜひご覧ください。
問合せ:中津市歴史博物館
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