昭和40年8月、「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である」、「早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」とうたった同和対策審議会答申が出されました。
大分県では、この答申が出された8月を「部落差別等あらゆる不当な差別をなくす運動月間」と定めています。中津市でも、県とともに差別のない社会をめざし、人権問題の啓発活動を推進しています。
この機会に「同和問題」を正しく理解し、人権問題の解決に取り組みましょう。
■解決すべき課題
今日なお、部落差別をはじめ、社会的身分、門地、人権、民族、信条、性別、性的指向、性自認、年齢、障がい、疾病などによる不当な差別その他の人権侵害が存在する中で、さらにこれが、情報化の進展などの社会情勢の変化により複雑多様化し、私たちの解決すべき課題となっています。
一人ひとりが自分の人権のみならず他者の人権についても正しく理解し、配慮するとともに、相互に人権を尊重し合い、その共存を図っていくことが重要です。
■部落差別とは
部落差別(同和問題)は、日本社会の歴史的過程で形作られた身分差別により、日本国民の一部の人々が長い間、経済的、社会的、文化的に低い状態に置かれることを強いられ、その地域の出身者であることを理由に結婚を反対されたり、就職などの日常生活のうえで差別を受けたりするなどしている、我が国固有の人権問題です。
■部落差別のない社会の実現に向けて
部落差別の解決に向けて、長年の取組みによって生活環境や産業基盤の整備などの面で格差の解消が進み、また、社会のさまざまな分野で人権尊重意識の醸成も進められてきました。
しかし、未だに、結婚・就職差別や差別発言、インターネット上での差別的情報の流布が発生するなど、解決にいたっていません。
このような中、部落差別は許されないものであるという認識のもと「部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消推進法)」が平成28年12月16日に施行されました。
※「部落差別の解消の推進に関する法律」の全文は、市ホームページに掲載しています。
■関心を持って正しく知ること
部落差別の問題を「難しい問題」「自分とは関係のない問題」と避けることは、その解決を遠ざけます。また、「寝た子をおこすな」「そのうち無くなる」とする考え方は差別意識を温存し、差別を容認することにつながります。さらに、この問題をよく知らない人がインターネットの差別的書き込みを見ると、偏見や差別意識を持ってしまう恐れがあります。
■私たちにできること
誰もが、自分らしく幸せに暮らしていける社会を望んでいるのに、それを阻むのが差別です。「誰かがなくしてくれる」と思っていても差別はなくなりません。「私」自身が差別をなくすためにどう行動するのかが大切です。まずは自分にできることから始めましょう。
◆人権学習会・研修会を随時受け付けています
市では、「偏見や差別」の解消、市民一人ひとりの人権が尊重されるまちづくりをめざし、あらゆる機会や場所を通じて「人権学習会・研修会」を開催しています。「いつでも、どこでも、なんにんでも」をスローガンに、無料で人権啓発専任講師を派遣し、必要な機材や資料も準備します。
会社や自治会、老人会、子ども会などで人権学習会・研修会を開催してみませんか。
申込方法:人権・同和対策課窓口、電話、FAX、インターネットから申込み
◆人権標語(一般の部)を募集します
毎年8月の「部落差別等あらゆる不当な差別をなくす運動月間」の取組みとして、人権標語(一般の部)を募集します。優秀作品(1点)は、11月に開催される「人権を守る市民の集い」で表彰し、人権標語優秀作品カレンダーなどに掲載します。
対象:市内在住者(小・中学生、高校生を除く)
内容:人権をテーマとした、わかりやすく親しみやすい標語(20字程度)
応募方法:住所、氏名、年齢、電話番号、標語を記入し、郵送、メール、FAX、インターネットで応募(電話での応募はできません)。氏名・標語には必ずふりがなをつけてください。
応募期限:9月2日(月)必着
※標語は未発表のものに限り、入選作品の著作権は主催者に帰属します。また、審査結果は入選者のみに通知します。
◎令和5年度 入選作品 一般の部優秀作品
差別(さべつ)する 自分(じぶん)に気(き)づけ 大人(おとな)たち
◆開こう心の窓を -六曜を知っていますか。-
カレンダーや手帳に小さく書いてある「大安、友引、先勝、先負、赤口、仏滅」をご存じですか。これは六曜(ろくよう)といって、室町時代頃に中国から入ってきて、現代まで伝わっている暦です。この六曜、日頃はあまり目立たないのですが、特別な日に登場します。「結婚式は大安に」「葬式は友引を避けて」など、聞いたことはありませんか。
六曜には、それぞれに意味があって、大安は、何をしても吉の日、友引は、良いことも悪いことも道連れにする日など、日の吉凶に関係するようになっています。また、太陰暦(旧暦)では規則的に並んでいるだけなのに、今の太陽暦では、不規則に表れるので、神秘的な感じがするのでしょう。しかし、神社や、仏教とは全く関係なく、もちろん、科学的根拠もありません。大安に結婚式を挙げたカップルは、すべてが幸せ、なんていうことならいいのですが。では、なぜいまだにこだわる人がいるのでしょうか。それは、理屈ではわかっていても、「昔から~」「みんなが~」「世間体が~」などに影響され、気持ちのうえで受け入れてしまうという側面があるからではないでしょうか。これが、さまざまな差別の要因になることがあるのです。
さて、この六曜が大嫌いな偉人をご存じですか。中津が生んだ福澤諭吉です。彼は小さい頃から、非科学的なことが嫌いで、六曜をとても嫌っていました。著書「改暦辯(かいれきべん)」の中で、「暦につまらない吉凶を書き記し、わけもわからない日を定めれば、迷いの種が増え…挙式を延ばしたり、夏に遺体が腐敗したり…」と六曜の害を述べています。言い伝えには、昔の人の知恵もあります。すべてを否定してはいけないし、信じることは自由です。しかし、現代を生きる私たちは、非科学的な事を信じ、曲げてはならないもののようにしていないか、一度、振り返ってみてはいかがでしょうか。
問合せ・応募先:人権・同和対策課(〒871-8501 中津市豊田町14番地3)
【電話】22-1229【FAX】24-7522【メール】jinken@city.nakatsu.lg.jp
<この記事についてアンケートにご協力ください。>