小児科 伊藤 創太郎
■こどもの食物アレルギー
食物アレルギーとは通常は害がないはずの食物に対して免疫が過剰に反応して体調不良をきたすことです。食べてすぐ症状がでる即時型、重症な反応を起こすアナフィラキシー、食べて数時間して嘔吐や血便で発症する消化管型、食べて運動すると発症する食物依存性運動誘発アナフィラキシーなどさまざまな型があります。以前は卵・牛乳・小麦が3大アレルギー食品と呼ばれていましたが、最近は木の実(クルミやカシューナッツ)が小麦より多くなり注目されています。
食物アレルギーの治療は、以前は原因食物を「食べさせないこと」が正しいとされてきましたが、今は「症状がでない量を食べること」が大切であるとされています。そのためには病院で原因食物を食べる食物経口負荷試験を行います。アレルギー症状が出ない量を調べることで、自宅で安心して食べることができます。食物経口負荷試験を繰り返すことで、食べる量を少しずつ増やすことができます。もう1つ、大切なことは「スキンケア(皮膚をきれいにすること)」です。食物アレルギーは食べ物の蛋白質が荒れた皮膚を通して体内に入り込む「経皮感作」が原因で発症するとされています。しっかりとスキンケアをして、つるつるすべすべのきれいなお肌にして食べ物の経皮感作を防ぐことが大切です。
このように現在の食物アレルギーの治療は「食べること」と「スキンケア」が大切です。今や乳児の10人に1人が何らかの食物アレルギーがあり、この20年間で2倍に増えました。その間に多くの事が解明され、治療方法も変わりたくさんのこどもが食物アレルギーを克服しています。お子さまの食物アレルギーでお悩み事があれば、病院で相談することをおすすめします。
問合せ:中津市民病院
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