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≪特集1≫九重町モンゴル表敬訪問事業レポート

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大分県九重町

本年度、九重町はモンゴルへの表敬訪問事業を実施しました。この事業は、九重町出身の元在モンゴル特命全権大使である清水武則氏が架け橋となり実現しました。

九重町モンゴル表敬訪問事業として、令和5年9月6日から11日にかけてモンゴル国を訪問しました。訪問団7名には、議員5名と私、行政より1名が参加し、清水武則元在モンゴル特命全権大使がオブザーバーとして同行しました。
今回の事業の目的は、モンゴルにおいて最も有名な温泉地帯の一つであるツェンヘル・ソム(郡)及びアルハンガイ・アイマク(県)の行政関係者に対し、本町より表敬訪問並びにPR活動等を行い、インバウンド誘致を図るとともに国際交流、都市交流について調査・研究を行うことでした。
この中で、ツェンヘル・ソムにおいては、今後の相互交流に向けて協議を始める「覚書」をガルフ―ソム長と交わしました。また、ツェンヘル・ソム、アルハンガイ・アイマクそれぞれの行政、議会関係者に対し本町および大分県の魅力を紹介するプレゼンテーションを行い、PR活動につながったものと感じています。また、モンゴルから九重町へ来られた50名の方々にも、郷土芸能の披露による歓迎レセプションを通じて、九重町、日本の魅力を感じてもらえたものと思います。
モンゴル(チンギスハーン国際空港)へは、大分空港発着の外交関係樹立50周年記念チャーター便(直行便)で4時間半の空路でした。モンゴルは面積156万平方キロメートル(日本の約4倍)、人口345万人の雄大な大自然を有する国です。首都のウランバートルは、国の人口の約半分が集まる大都市で、中心部には高層ビルやマンション、商業施設、建設中のビル等が立ち並びインフラも整備されています。しかし、その人口密集の影響からか平日の交通渋滞は非常に激しいものがあります。一方で中心部から少し離れると、丘陵状の場所に一軒家が市街地を取り囲むように密集しており、更にその周りにはゲルが集まっています。通訳の方に尋ねたところウランバートルの人口のうち約70万人は、ゲル等での生活をしており、お金がたまったら家を建てるとのことでした。
この一帯は上下水道が整備されていないところがほとんどで、飲料水などの生活用水は給水所から購入しているのですが、その支払い方法には電子マネーが普及してきているとのことで、そのギャップの大きさに驚きました。また、モンゴルでは若い人の姿を多く見かけますが、モンゴルの男性の平均寿命は68歳、女性は76歳で高齢者は人口の1割程度ということで、それも頷けるところです。
ウランバートルを離れ、今回私たちが訪問したアルハンガイ・アイマクやツェンヘル・ソムに向かう道は、舗装されているものの道路状態は良いとは言えず、幹線道路から一歩入ると大草原の中の轍が道となっていました。
このようにハード面を中心に見た場合の日本とモンゴルの差は大きいと感じざるを得ないものがありますが、そこに住む人々は非常に暖かく、人をもてなす心には敬服の念を抱かずにはいられません。ツェンヘル・ソムへの訪問では、ソム境までの出迎え、馬乳酒、伝統菓子などによる歓迎を受けました。来訪者に対し可能な限り堪能してもらおうとする心遣いなど、若い方たちの多い中にもかかわらず伝統も重んじたその振る舞いは心に強く残りました。
また、ツェンヘル・ソムで訪問した学校(12年制)では、子供たちが懸命に学習をしていました。「将来、日本に行ってみたいと思うかどうか」の問いには、多くの子供たちが笑顔で手を挙げていました。
モンゴルと日本の経済状況を数値で見ると一人当たりの名目GDPは、モンゴル4,863US$、日本33,822US$(2022年 IMF)となっています。1990年以降の民主化により急速な経済成長を遂げていますが、その地方自治制度や日本・モンゴル間における交通網などを考慮すると今後の交流における方法や規模、内容については、十分な検討が必要だと思われます。
しかし、前述したように、人々との交流や大陸の風景、歴史は私たちの感性を揺さぶることは間違いありません。そして、モンゴルはこれから将来に向かって、資源開発や農業、観光業など経済的にも大きな可能性を秘めています。
今回の表敬訪問で繋がりを得たツェンヘル・ソム、アルハンガイ・アイマクとデジタル技術等を活用しながら、覚書で確認した相互訪問や観光事業など「温泉の町交流」についての協議を継続的に行い、自治体の発展、まちづくりに生かしていくことが重要であると考えます。
今回の表敬訪問事業は、清水武則元在モンゴル特命全権大使のご尽力が無ければ実施できないものでありました。清水氏並びに本事業に携わっていただいた日本、モンゴル両国の方々に感謝申し上げレポートとします。

(九重町モンゴル表敬訪問団 団長 日野康志)

◆覚書概要
温泉の町交流のため以下について今後、協議を行う。
(1)両地方自治体の代表団の相互訪問の実施
(2)相互訪問においては、双方の自治体の得意分野について施設訪問、意見交換を通じて双方が研修機会を提供
(3)両自治体の子供たちが異文化に触れることは大きく飛躍する機会を創設するものであるとの認識のもとでの青少年の交流
(4)その他、両自治体の相互理解を深めるための交流事業

◆ツェンヘル・ソム(郡)
・ツェンヘル・ソムは、6つの地域に分かれており、面積3,200平方キロメートル、農地面積149,000ha、森林82,000haで、主産業は畜産、農業、観光。モンゴルにおいて温泉で有名な地域。
・人口6,188人(女性3,060人、男性3,128人)、0~18歳2,318人、高齢者681人。
・所帯数1,790のうち、1,533世帯が家畜を飼育(うち、牧畜世帯1389世帯)。家畜数366,700頭(馬4万、牛7万、羊16万、ヤギ9万、端数は省略)。
・ツェンヘル温泉は源泉の温度が87℃あり、内臓、皮膚に効能あり。その他にも管内に数カ所の温泉がある。

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