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ふるさとの文化財探訪 第108回

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大分県九重町

『タヌキとり』

文化財調査員 後藤浩二

狸の穴を見つけたら、草を積み、火をつける。狸をいぶり出すのだ。
たぬきが飛び出して来たら棒で“くらして”動けなくする。このときあわてて手を出してはならない、“食いつかれる”からである。
今でこそジビエ料理などと、しゃれた言葉を使われているが、昔は普通に食べていた。
シカやイノシシ、キジ。食べたら、鉄砲玉が出てきたそうだ。
うさぎは家庭で飼育しており、毛を切って送ると、毛糸に交換してくれた。
当然、食用にもした。
童話「かちかち山」にもウサギと狸が登場しており、身近な生き物だったことがわかる。
ここでは、おじいさんが狸汁にして食べようとするが、狸にだまされて、おばあさんを食べてしまう。そこでウサギが、復讐するのだ。
近年にも、面白い話は、残っている。
ある男が、狸の子どもを捕まえてきた。その夜、外に光る眼の様な物があるので、見てみると、狸が付かず離れず、こちらを見ている。男は、狸が子どもを取り返しに来たのだと思った。気持ち悪いので、一匹返したが、次の日も狸が来る。男はとうとう全部返した
しばらくして、狸の巣に行ってみると、子どもの数だけ、寝床があったそうである。
男は、一つ二つ、寝床を壊しておけば良かったと話していた。
本人より聞いた実話である。
狸の様なものには二種類いて、片方はアナグマである、狸より美味しかった為か、今では姿を消している。鹿も一時期は禁猟になっており、いかに食べていたかが分かる。
しかし、キツネを食べたという話は聞いたことがない。日本には稲荷信仰があり、狐はその眷属(けんぞく)とされているので食べられないのだろうか。誰に聞いてもわからない。
狐は春先、稲を植えるころ里に下りてきて、収穫後、山に帰っていくので、縁起のいいものとして、扱われていたのかも知れない。
牛はトラクターの代わりに使われており食用ではなかった。
犬を食べたという話も聞いたことがあるが、これは少数で、食べ分けていたのが分かる。

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