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≪特集≫岐部笙芳(せいほう)さん人間国宝認定

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大分県九重町

「竹工芸は恋人ですね。苦しい時でもやめることがなかった」笑顔でそう語るのは九重町南山田の竹工芸家、岐部笙芳(せいほう)さん。
7月の文化審議会答申で岐部さんは重要文化財の保持者(人間国宝)に認定されることになりました。
「最初に人間国宝と聞いたときは頭が真っ白になりました。本当に自分でいいのかと不安な気持ちが大きかった。現在は時間の経過とともに慣れてきたけど、やはり重圧の方が大きい」と話していました。
岐部さんは高校卒業後約17年間、会社員として勤務されていました。自宅の杉を間伐していた際に骨折。ちょうど転職を考えていたタイミングでもあり、偶然再会した中学校時代の教頭先生に「ものづくりはどうか」と助言されたことが転機でした。
家族や友人には「やめたほうがいい」と反対されたそうですが、岐部さんは別府市の職業訓練校に通い、ものづくりについて学び始めました。
学校に通っている間は自立したときに稼いでいけるのかずっと不安が付きまとっていました。それでもアルバイトをしながらがむしゃらに続け、そんな岐部さんの姿をみて応援してくれる人が徐々に増えていきました。
卒業後は師匠の本田聖流さんの下で約2年間量産の仕事を習い、その後独立しました。
岐部さんの作品は二〇〇四年の西部工芸展で最高賞を受賞したことを契機に数々の賞を受賞。二〇〇七年以降はギャラリーを通じて海外のファンを獲得していき、二〇〇九年にはアメリカで個展を開きました。
岐部さんによるとこの頃から「向かい風が追い風に変わってきた」と手ごたえを感じたそうです。
さらに二〇一四年には技術と作品の芸術性の高さが認められ、紫綬褒章を受章。今回の「人間国宝」の認定に際しても、それら技術の継承に力を入れている点も評価されました。
岐部さんは「竹工芸はすぐに成果出ず経済的にも厳しい。しかしそれを乗り越え、作品を作り続けてきたことによって自分が思いもしなかった出会いや交流が生まれた。苦しい時期に周囲の人に支えてもらえたことも運がよかった」とこれまでを振り返っていました。
また今後の目標について「今までとは違う造形、遊び心の入っている作品を作ってみたい。竹工芸を始めて40周年になるので個展を開きたい」と話していました。

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