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ふるさとの文化財探訪 第122回

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大分県九重町

『牧口八幡社の夏越神事』

文化財調査委員 坂本美樹

今年もまた夏越祭りの時期がやってきました。全国各地で行われるもので、新暦で行うところ、旧暦で行うところがありますが、ここ牧口八幡社は毎年新暦7月31日と決まっています。車には昨年頂いた茅で作った小さな輪のお守り。『蘇民将来子孫之家門』『悪疫退散 牧口八幡社』『夏越大祓 無病息災 延命長寿』と書かれています。おかげ様でまたこの時期を迎えることができました。感謝。
そもそも茅の輪こごり神事とは、茅で作られた大きな輪をくぐることで、今年前半のお祓いと残り半年間の無病息災を願う神事です。宮司さん奏上の後、宮司さんを先頭に、向かって左に一周、次に右に一周、そしてもう一度左へ一周。最後にあらためて一同で二礼二拍手一礼という流れになります。
この神事は、スサノオノミコトに由来する神事です。イザナギノミコトが禊の際、生まれた3柱の尊い子(3貴子)の一人です。左目を洗うとアマテラスオオミカミが、右目を洗うとツキヨミノミコトが、そして小鼻を清めているときに生まれたのがスサノオミコトです。つまりアマテラスオオミカミ・ツキヨミノミコトの弟にあたります。荒ぶる神で有名で、アマテラスオオミカミを困らせ、アマテラスオオミカミが天岩戸に隠れる原因となったのもスサノオノミコトです。それにより高天原を追放されることとなるのですが、出雲のヤマタノオロチを退治し正義のみかたとなった神さまです。出雲神話の祖神と言われるスサノオノミコト。出雲は、神無月に唯一神在月が存在する特殊な地域で、私の故郷でもあり、守り神である大社さん(出雲大社)があり、何かしらの縁を感じています。くぐる輪の素材が藁でなく茅なのも意味があり、茅は大地を突き破ってぐんぐん伸びる強い生命力。そして刃物のような鋭い切れ味の刃先に魔を切るといった意味合いが込められており、ひいては自分自身の穢れをきるという意味でもあるとか。
実はこの文章7月号掲載というタイミングもあって、皆様にも足を運んでいただけたらと想い再び違ったアプローチで書いてみました。今年も午後休が取れましたので、行きたいと思っております。

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