文字サイズ
自治体の皆さまへ

人権コラム 心、豊かに

15/25

大分県日田市

■自分を見つめ直そう
「施せし情けは人の為ならず おのがこころの慰めと知れ 我れ人にかけし恵は忘れても ひとの恩をば長く忘るな」
これは、新渡戸稲造(にとべいなぞう)の著作『一日一言』の中に記された「恩を施しては忘れよ」の全文です。
文中にある“情けは人の為ならず”は、「情けは、その相手のためになるだけでなく、自分にも良い報いとなる」という意味合いを持つことわざとして広く使われており、“情け”を他人に対する思いやりや親切な言動と位置付けていると解釈できます。
思いやりや親切な言動は、「相手のことを思う」ことが大前提ですが、相手の受取り方次第では、いわゆる「お節介」と呼ばれる全く違う形になってしまいます。
相手が求めていない場合や押し付け的な言動が、お節介の特徴ですが、お節介を焼き続けると、人間関係にトラブルが生じてしまうことになります。
では、「適切な思いやり」とは、どんな状態を表すのでしょうか。一説によると、「自己完結している状態で、相手に必要以上に介入せず、相手を思い、心を配る状態」とされています。相手の心情を十分にくみ取った結果、「何もしない」という選択もあり得るものです。
冒頭の新渡戸稲造の文を現代文に書き直すと、「情けは人のためではなく自分自身のためにかけるものだ。だから自分が他人にした良いことは忘れてもいい。だけど、人から良くしてもらったことは絶対に忘れてはいけない」となります。
相手のことを心配し、寄り添う言動が「お節介」と言われることがあるかもしれません。「自分の情け」にこだわるのではなく、人から受けた「適切な思いやり」を教訓とし、自分自身の行動を見つめ直すことが、「真の情け」に出会う近道につながるのではないでしょうか。

問合せ:人権啓発センター
【電話】22-8017(市役所別館1階)

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU