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山香病院だより vol.186「虫垂炎の手術について」

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大分県杵築市

■「虫垂炎の手術について」
外科部長 相場 崇行(あいばたかゆき)

4月から外科部長として赴任しました、相場崇行です。3月までは大学で抗癌剤脱毛や大腸癌、AI手術の研究を行っていました。山香の地域医療を担っていけるように頑張ります。
身近な外科手術として、虫垂炎の手術をテーマに取り上げたいと思います。子供から若い人の病気と思われがちですが、大人も高齢の方も虫垂炎になります。
虫垂は盲腸から伸びる細長い管腔臓器です。ですので、虫垂と盲腸は違うものです。右下腹に存在しています。
ちなみに、虫垂炎のことを盲腸とよく言いますね。先に述べたように虫垂と盲腸は違いますが、なぜそのように誤解されて広まったのでしょうか? 昔は今のように検査が進歩していなく、虫垂炎が進んだ状態で発見され、手術になることが多かったです。そのため、炎症が盲腸まで広がり、盲腸の炎症と見えることから、盲腸の病気として認識されていました。
虫垂炎は何らかの原因で腸内細菌による炎症が虫垂に起きた状態です。原因としてはリンパ節の腫大、糞石(硬くなった便)、大腸癌などがあります。5%の人が一生のうちでいつかは発症します。10-20歳台での発症が多いです。症状は発熱、腹痛です。虫垂の場所は右下腹と書きましたが、もちろん右下腹の痛みが多いです。しかしながら、虫垂炎になってすぐでは胃のあたりの痛みを最初に認める方もいます。ですので、数時間から半日程度経過して、痛みが右下腹に移動してきて、虫垂炎とわかることもあります。
治療は大きく分けて抗生剤治療と手術です。症状が軽い場合や糞石がない場合には抗生剤治療が可能です。痛みの症状が強い場合、糞石のある場合には手術をした方が良いです。抗生剤治療も可能ですが、良くなるまで時間がかかるまたは、よくならない可能性があります。手術は、現在は腹腔鏡手術が主流です。お腹に3箇所の小さな孔をあけ、腫れた虫垂を根元で切ります。手術ですので絶対に安全とは言えませんが、一般的には術後5日程度で退院が可能です。もちろん合併症が生じれば、入院期間が延びます。
最近は抗生剤も良いものが増え、抗生剤のみで虫垂炎が良くなることも多いです。しかしながら、一度虫垂炎になって、抗生剤治療で良くなった方でも再発の可能性があります。10-40%の方で再発すると言われています。ですので、受験、就職試験、妊娠などを控えている方は予定を決めて手術をすることを勧めます。

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