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山香病院だより vol.185「アニサキス症について」

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大分県杵築市

■「アニサキス症について」
内科 淀 怜赳(よど りく)

4月より山香病院に赴任しました内科の淀怜赳と申します。私は消化器内科を専門としており、内科外来や病棟診療のほかに胃カメラ・大腸カメラなどの内視鏡検査や治療を行っています。
皆さんはアニサキスをご存知でしょうか。釣りをしている方などはご存知かもしれませんが、魚介類を生で食べた際に食中毒の原因となることがある寄生虫です。2〜3cmの細長い形状をした白い虫体で、少し太い糸のように見えます。
本来、最終宿主であるクジラやイルカなどの胃内に寄生したアニサキスは大きく成長します。その卵がフンと一緒に海中へ排出された後、オキアミなどのプランクトンに食べられることで寄生し、さらにサバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類に食べられて体内に寄生します。このアニサキス幼虫が寄生した魚介類をヒトが生で食べた場合、胃や腸の壁に刺入してアニサキス症を発症することがあります。
アニサキス症は生の魚介類を食べて数時間から数日程度で症状が出現します。胃や腸の粘膜が腫れ上がり、激しい腹痛や悪心・嘔吐を起こすことが多いですが、中には発熱や蕁麻疹などの症状を伴うこともあります。これはアニサキスに対するアレルギーが関与しているからだと言われています。
アニサキス症の予防として重要なことが3つあります。1つ目は鮮度を徹底することです。アニサキス幼虫は寄生している魚介類が死亡して時間が経過すると、内臓から筋肉に移動すると言われています。新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除くことが大切です。もちろん内臓を生で食べてはいけません。2つ目は目視でよく確認し除去することです。1匹でも見つけた場合は2匹以上いると思ってください。3つ目は加熱や冷凍をすることです。これが最も簡便で効果的かもしれません。加熱する場合は60℃以上で1分以上、100℃以上では瞬時に死滅します。冷凍の場合はマイナス20℃で24時間以上冷凍すると死滅します。
ちなみに、よく噛んで食べるだけではアニサキス幼虫を噛み切ることは困難です。また「シメサバ」のように食酢で処理しても死滅させることはできません。塩、醤油、ワサビなどの調味料でも同様です。他の予防法を徹底してください。
アニサキス症を診断する際には、生の魚介類を食べたという情報が最も重要です。もしアニサキス症が疑われる場合は内視鏡検査を行い、胃粘膜に刺入しているアニサキス幼虫を見つけられれば摘出します。
正しい知識を持ち、正しい対策をすれば予防できる病気です。必要以上に怖がり過ぎず、できる限りの対策をして美味しい海の幸を楽しんでください。

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