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人権コラム 気づき NO.49

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大分県杵築市

■「差別の本質」
2020年5月、ミネソタ州ミネアポリスで偽札使用の通報を受けた白人警官が、路上でジョージ・フロイドさんの首を9分29秒間、膝で押さえつけ死亡させました。この暴行死事件は世界中に衝撃を与えました。そのことをきっかけに「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切だ)」というスローガンを掲げたデモが行われ、アメリカに今なお残る黒人差別意識が浮き彫りになりました。
今から60年前の1964年、河出文庫より刊行され、2020年に復刊された有吉佐和子著「非色」をお読みになったことはありますか?
第二次世界大戦後、アメリカ人である黒人と結婚し、「戦争花嫁」として、アメリカに渡って暮らす主人公笑子の目を通して人種差別の本質を如実に書き記した作品です。
アメリカの人権問題は単に黒人と白人という肌の色だけではなくて様々な問題をふくんでいます。本書の中では、白人が黒人を差別するだけではなく、白人同士でもユダヤ系やイタリア系は差別され、黒人同士でもアメリカとアフリカではお互いに見下し合います。被差別者が差別者に転じたり、無自覚なうちに芽生える善意と悪意に翻弄されたりします。
主人公の笑子は問います。「人間が生きていることを最低のところでささえているのは何なのだろうか」と。
「人間は誰でも自分よりなんらかの形で以下のものを設定し、それによって自分をより優れていると思いたいのではないか。それでなければ生きていけないのではないか」という一文がありました。
ー他者より優越でいることに安堵するーそれは紛れもなく人間の弱さからくるのだという事を「色に非(あら)ず」と作者は表現したかったのではないでしょうか。
12月は2日が奴隷制度廃止国際デー、10日が世界人権デー、18日が国際移民デーと続きます。
日本では、毎年12月4日から12月10日の一週間を「人権週間」とし、全国的に人権啓発活動を強化しています。
この機会に私たち一人ひとりが「差別の本質」についてもう一度見つめなおし、互いの人権を尊重し合うことの大切さを考えたいですね。
〔社会教育課、人権啓発・部落差別解消推進課、隣保館〕

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