■「地域医療フォーラム」
院長・病院事業管理者 小野 隆司(おのたかし)
毎年3月には杵築市立山香病院主催で杵築市地域医療フォーラムを実施し、今年は3月16日に第13回を開催することになりました。今年もオンライン併用のハイブリッドで行いますが、コロナ禍の制限も緩和され5年ぶりに会場に市民の皆様をご招待して開催できることになりました。今回のテーマは衣食住の“住まう”をテーマで議論したいと考えています。我々は日々の暮らしの中で住む場所に何を求めているのでしょうか? 私たちはどんな町に住みたいのでしょうか? 我々の住む杵築市はどうなのでしょうか? 住みやすい? 住みにくい? 簡単には回答いただけないかも知れません。
今回、杵築市の別荘地であるロイヤルシティー別府湾杵築リゾート(梶ケ浜区)に住む皆さんに焦点を当てて考えてみる機会を得ました。杵築市の海岸線に大和ハウス工業(株)のリゾート別荘として開発され、約250戸もの区画があり、30年以上前に多くの方々が希望を持って移住されたと聞いています。
別府湾を見下ろす斜面にあり風光明媚な景色に私も興味をそそられます。県外から移住された方が多かったと聞いています。30年の月日が流れ、高齢化が進むとともに健康問題などが顕在化し、住み続けることに様々な問題が生じてきたようです。当院も通院支援を拡大する中で梶ケ浜区の現状を知ることになりました。住民にとっても高齢化は想定範囲だったはずですが、我々はその問題を共有していませんでした。
今からどのように関われば良いのか? どんな協力ができるのか? 模索している最中です。公的病院であることから行政にも協力を求め一緒に動き始めたばかりです。母体の大和ハウス工業(株)も時代の変化に即応した新たな動きとして“リブネスタウン”を推進し、人口減の時代にこれまでの住宅地への関わり方を見直している最中でした。住民、企業、行政、病院が一緒に、“住まう”ということのこれまでとこれからを考える機会をいただきました。若い頃には保健・医療・福祉(介護)などはあまり気にならないかも知れません。しかし、年齢が進むに従いその必要度が増していくのが現実と考えます。過去から現在を検証して、持続可能な未来を考えることが大切です。
今後どのように関わることが最善なのか? 一方で人口減・少子高齢化が進む杵築市はどのようにして人口を増やすのか? 市内の出生数の減少はただ受け入れるしかないのか? 昔から住んでいる人も住みやすく、移住した人も住みやすい「まち」になるにはどんな努力が必要なのか? “住まう”要件は世代によって異なるのかも知れません。若い世代であれば教育は必須条件かも知れません。どの世代でも健康面での安心感は最重要だと考えています。
リブネスタウンプロジェクトを推進する大和ハウス工業(株)の原納(はらの)常務に基調講演をいただき、梶ケ浜区の過去を検証いただき、これからのハウスメーカーのまちづくりのビジョンをお話いただくつもりです。梶ケ浜区の現状報告や様々な取り組みもご紹介いただき、パネルディスカッションでは島根県雲南市の地域創生に記者として関わった田中謙太郎さんにご発表してもらい、。人口減の杵築市の未来を変革する提案ができればと考えています。皆様の参加を心よりお待ちしています。
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