杵築市長 永松 悟
■心房細動の早期発見
高齢者に多い心臓や冠動脈・大動脈・血圧などの循環器系の疾患は、日本の医療費の中で最大を占めており、介護が必要となる一番の原因になっています。
中でも、心房細動による心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう)は予後が悪く、1割の方が亡くなり、半数の方に寝たきりなどの重い障害が残ります。
初期の心房細動は発作の頻度が低いために、健診での心電図に記録されず、自覚症状も無いことが多く、見逃されてしまいます。
こうした中、7日間連続でデータ計測ができる心電計が開発され、隠れ心房細動の早期発見が可能になりました。薄くて軽い絆創膏型で、胸に貼ったまま半身浴やシャワーもできます。
この新しい心電計の効果を全国で初めて大分大学が学術的に研究することになり、杵築市と山香病院は昨年の事業スタートから参加しました。
■健康寿命の延伸
まず、市と病院が協力して国民健康保険・後期高齢者医療保険の加入者に山香病院で健診を受けていただき、心電図検査が必要な方を選びます。
次に、心電計の貼り付け→心電図解析(大学)→受診者フォロー→評価となります。事業は昨年6月に始まり、先月、成果報告会がありました。
半年間で370名の市民に心電計の貼付を行い、その中で隠れ心房細動患者が12名見つかり、受診未確認の1名を除き、11名が重症化する前に治療ができました。
心房細動患者数は、高齢化の進展で国内で100万人を超えます。患者を早期に救うことは、健康寿命の延伸と将来的な医療費・介護費の抑制になります。
ご指導いただいた大分大学の北野学長と高橋教授に、心からお礼を申し上げます。
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