■花月園国東塔(かげつえんくにさきとう)〔杵築地域〕
県指定年月日:1974年3月19日
工芸品/県指定有形文化財/下沓掛地区
花月園国東塔は、大田の下沓掛地区の田原山登山道の入口付近に位置し、当時この辺りを治めていた田原氏の別邸「花月園」内にある岩上にあります。
高さは2.61mで、石材は角閃安山岩を使用しています。構造としては現在基礎が二重確認できますが、文献によっては「もと基礎は三重であったが、岩上に移動したため第一重(一番下の基礎)は省略したものと推察される」とあり、詳細は不明となっています。また、基礎の格狭間(こうざま)と笠の上にある露盤(ろばん)には、連子(れんじ)と呼ばれる一定間隔に入る縦の線が刻まれ、台座と請花にはそれぞれ反花(複弁八葉)と蓮華座(単弁十三葉)が刻まれています。
塔身には内部へと続く奉納孔(ほうのうこう)が穿(うが)たれており、笠は下に向かって反(そ)る、反(そ)り屋根(照り屋根)で、露盤より上部は一石で造られ、相輪の一番上にある宝珠は四方が火焔で取り囲まれています。なお、この宝珠の下にも請花がありますが、単弁八葉であり台座とは違う模様となっています。
これらの特徴から、この国東塔の年代に関しては南北朝時代末期から室町時代初期に造られたとみられており、この地を治めていた田原氏との繋がりも含め謎の多い石造物となっています。
お問い合せ:文化・スポーツ振興課 埋蔵文化財係
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