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木綿(ゆふ)の山通信

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大分県由布市

今回は市内でも唯一の摩崖仏とされる鬼崎の摩崖仏をご紹介します。
国道210号線の由布市と大分市との境から福宗清掃工場方面へ600mほど進むと、左へ大きくカーブする地点があります。このカーブの右側には小さな里道の入口が二つあります。このうちの右側の里道を進むと、水路沿いの右手の断崖中腹に、2ヶ所の龕を掘り、それぞれに摩崖仏が彫られています。
西側にあるものを第1号、東側にあるものを第2号として別々に市重要文化財として指定しています。
第1号は3体の仏像が彫られており、中央の像がやや大きいことから、仏教における仏像安置形式のひとつ、三尊像ではないかと思われます。
ただ、柔らかい砂質の堆積岩に掘られていることから、経年による劣化が著しく、中尊はおろか脇侍仏についても、何を表現したものか判りません。
一説には、中尊は衆生の11品類の無明煩悩を断ち、仏果開かしめる功徳を表すとされる十一面観音像、右脇侍は善財童子、左脇侍は薬王菩薩とする見方があり、また一説には、中尊は十一面観音像、右脇侍は善財童子、左脇侍は薬師菩薩とする見方もありますが、確証に欠けます。
龕の規模については、通常では到達できない高さにあるので、測定不能です。
第2号は第1号と比べると低い位置にあります。龕の大きさは幅285cm、高さ150cm、奥行き90cmを図ります。
この摩崖仏も劣化が著しく尊像は不明ですが、向かって右側のものは明らかに五輪塔を型取っています。中央の尊像は頭部が縦長で上方に開いていることから、冠を頂いているものと思われ、閻魔大王を表現しているのではないかと推察されます。そうであるならば、左側のものは十王の一尊であると考えられます。
いつ、誰が、何のためにこの摩崖仏を作ったのかは分かりませんが、この崖の上には熊野神社があることから、熊野信仰と何らかの関係があるのではないか、とも思われます。
この奥には、ズウメキ谷と呼ばれる谷があり、木が茂り寂しいところであります。ズウメキは谷川のゾウゾウと聞こえる音と人が苦しむ音が似ていることからつけられたと言われています。

問合せ:社会教育課
【電話】097–582–1203

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