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木綿(ゆふ)の山通信

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大分県由布市

今回は庄内町にある県指定重要文化財の柿原の笠塔婆の紹介です。
国道210号を挾間から湯布院方面へ進み由布市役所本庁舎の交差点を右折し庄内中学校の方へ100mほど行った路傍に笠塔婆があります。
笠塔婆は、元々亡くなった人を供養するために造られた塔ですが、時代と共に趣旨も変わり、五穀豊穣(ごこくほうじょう)、国家安泰などその折々の民衆の願いや信仰心が刻まれるようになりました。平安時代後期に始まり、鎌倉時代後期には多く造られるようになりました。
基礎の上に板状の塔身を置き、その上に笠をのせ、頂上に宝珠もしくは相輪を置く構造になっています。
塔身には仏像・種子・名号・題目などを彫り、その下や側面に造立の願意や造立者、年号などを記録します。
この笠塔婆は、上部に枘(ほぞ)があるので笠があったと思われますが、現在は笠は見当たりません。
総高は210cm、幅45cmを測ります。全体的に丁寧な作風ですが、裏面はノミ痕が確認できる粗削りとなっています。正面に額部を設け、塔身に銘文が彫ってありますが風化が激しく、また下部は土中に埋まっているので判読しにくい個所もあります。
上部にカーンマーン(不動明王)の種子が大きく薬研彫りされ、その下に応安元(1368)年の年号と、この笠塔婆を造立した一結衆の面々の名が刻まれています。
不動明王は、日本では「お不動さん」の名で親しまれており、煩悩に苦しむ民衆を正道へと導く、とても心強い明王です。造立の目的は不明ですが、民衆の願いが込められた豪放で存在感のある笠塔婆です。

問合せ:社会教育課
【電話】097–582–1203

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