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木綿(ゆふ)の山通信

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大分県由布市

今回は市重要文化財「朴木旧庄屋高札」の紹介です。
江戸時代、幕府や藩はさまざまな規則の制定や通達を行いましたが、その伝達方法が「高札(読み・こうさつまたはたかふだ)」と呼ばれる板に情報を書き込み、掲げるという方法でした。これは、朴木村庄屋であった平野家に伝わるものです。
文面には天和2(1682)年と記されていますが、この時代は徳川綱吉が将軍を務めた時代で、政情も安定し庶民も平和に慣れてきたころであり、江戸文化の代名詞ともいえる元禄文化が花開く直前にあたります。
また、商人が力をつけ始めたころにもあたり、庶民にも贅沢が浸透しつつある時代背景がありました。
このため、幕府は庶民の生活を戒め、質素倹約を奨励し、人心の引き締めを図りました。こうして全国に次のような高札が掲げられました。

一、忠孝を励み、夫婦兄弟仲良く、召使にも憐みをもって接すること。もし、不忠不幸のものがあれば重罪とする。
一、万事贅沢をしてはいけない。家屋の建設、衣服、飲食にいたるまで倹約を守ること。
一、悪心で嘘をついたり、欲のために人を害してはいけない。一生懸命家業に励むこと。
一、盗賊や悪党がいたら訴えること。必ず褒美が下されるよう。賭博は固く禁じる。
一、喧嘩口論はやめさせること。みだりに喧嘩場に出向いたり、怪我をしたものをかくまってはいけない。
一、死罪が行われる時は、命令されたもの以外は集まってはいけない。
一、人身売買は固く禁止する。あわせて、年季で召し使っている下人は男女ともに10年以内とする。
右の取り決めに違反する者は厳しい処罰を下すこととされたので、通達する。

一見すると、内容的には道徳的なもののように思えますが、幕府は、贅沢により堕落し悪事を働く者が出ないよう、人心の引き締めを図ったものと言えます。
この高札は、由布市歴史民俗資料館に展示していますので、ぜひ足を運んでみてください。

問合せ:社会教育課
【電話】097–582–1203

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