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木綿(ゆふ)の山通信

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大分県由布市

今回は庄内町の「摺原(すりばら)の宝篋印塔(ほうきょういんとう)」(市指定重要文化財:建造物)の紹介です。
県道719号東長宝西線沿いにある西庄内小学校前から、庄内町高岡にある障がい者支援施設「小松寮」をめざして北へと向かいます。この小松寮の手前で右に入る脇道があり、これを東へ進むと大きな左カーブのある箇所へ出ます。
このカーブの右側に、まっすぐ東へ向かう小道が走っており、この道を進むと左手に小さな案内看板があります。この案内に従って林の中へ足を踏み入れると、左手の方角に突然立派な石造物が姿を現します。これが、ここで紹介する摺原の宝篋印塔です。
この宝篋印塔は、基壇の上に基礎・塔身・笠部・相輪と積み上げられ、現存する高さは165cmを測ります。全体的に欠損が見られ、また経年劣化が著しく認められる事が惜しまれます。
基礎は上部に二段の作り出しを設けており、次の銘文が刻まれています。
「応永十六己丑二月十四日」
応永16(1409)年は室町時代にあたりますが、このほかに銘文は見当たらないので、この造塔の目的が供養塔なのか墓碑なのかは判断できません。
塔身には一段の枠取りを行い、金剛界四仏の種字を力強く薬研彫りしており、四面に配しています。
笠部は下部二段、上部五段の露盤を設け、四隅にはやや外側に傾斜するように隅飾突起が造形されています。
相輪の請花の蓮弁は線彫り、もしくはごく浅い薬研彫りで表現されており、相輪は中位にて折損しています。基壇上におかれているものが宝珠であると思われますが、確証に欠けます。
この宝篋印塔は、華美ではありませんが重厚感ある作風は厳然たる風格を備え、鎌倉〜室町にかけての特徴を如実に表した秀作であると言えます。
ちなみに、地元ではこの宝篋印塔は落ち武者の墓であると伝えられているそうです。

問合せ:社会教育課
【電話】097–582–1203

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