世界かんがい施設遺産認定を目指す
~竹田市世界かんがい施設遺産登録推進事業実行委員会設立総会開催~
本市は中山間地域であり、祖母山を源流とする大野川・緒方川、久住山群を源流とする稲葉川・芹川やその支流が本市を西から東に走り、大野川と大分川の源流地帯を形成しています。阿蘇山の火砕流堆積物で構成された土壌のため、深い渓谷を成した谷底にしか水がありませんでした。
多くの先人たちの熱意と苦労、血のにじむような努力によりかんがい用水施設が整備され、現在は当たり前のように水路を流れる「かんがい用水」によって、今の農業の形が形成されました。先人たちの苦難と努力の歴史を後世の若者たちに引き継ぐため、「世界かんがい施設遺産」の認定に向けた取り組みを行います。
■世界かんがい施設遺産とは
世界かんがい排水委員会(ICID)が、建設から100年以上経過し、かんがい農業の発展に貢献したもの、卓越した技術により建設されたものなど、歴史的・技術的・社会的価値のあるかんがい施設を登録、表彰しているものです。
現在、世界で19か国161施設が登録されており、日本国内では51施設、九州では6施設、大分県では1施設(宇佐市)となっています。
■期待される効果
(1)先人によって水路が開削され、現在の竹田市における一次産業の発展の礎(いしずえ)となっていることに感謝し、将来を担う子供たちに、自分の住んでいる「まち」を誇りに思ってもらえるよう、教育の場で活用することができる。
(2)かんがい施設の持続的な活用・保存方法の蓄積や維持管理に関する意識の向上に寄与するとともに、施設を核とした地域づくりへの活用が期待される。
(3)世界かんがい施設遺産に登録されることにより、農産物やインバウンドに対して大きなPRにつながり、地域経済の活性化が図られる。
■設立総会開催
7月10日、グランツたけたで「世界かんがい施設遺産登録推進事業実行委員会設立総会」が開催されました。竹田地域土地改良推進協議会、市、県など関係者約50人が集まり、本市のかんがい施設の「世界かんがい施設遺産」への認定に向けて手続きを進めていくことを確認しました。
会長に就任した土居市長は「地理的、地質的に営農に恵まれていない本市が県下一の農業産出額を誇っているのは先人たちが艱難辛苦(かんなんしんく)に堪え、成し遂げ造り上げたかんがい施設のおかげです。そのことを後世に引き継いでいくために、世界かんがい施設遺産の認定を目指していきます」と力強く挨拶しました。
■基調講演
設立総会と併せて基調講演が行われました。
「世界かんがい施設遺産認定に向けて」と題し、京都大学大学院農学研究科濱武英(はまたけひで)准教授に、世界かんがい施設遺産の認定に関わったお話をしていただきました。
続いて、宇佐市経済部耕地課栗林宏明(くりばやしひろあき)主幹が「宇佐市のかんがい用水群について」と題し、宇佐市及び駅館川(やっかんがわ)流域のかんがい施設に関する歴史についての講演を行いました。
■施設対象候補
対象施設については、建設から100年以上経過した施設で、別途かんがい農業の発展に寄与したなどの登録基準を満たす施設が対象となります。
市内には現在対象となる候補が21か所あり、今後、対象となる施設の登録基準や市としての条件設定を精査のうえ、作業部会で協議し施設対象候補を実行委員会で決定します。
■今後の予定
▽令和6年
9月:第1回実行委員会及び作業部会(候補決定及び中間報告)
11月:学校教育イベント
12月:第2回実行委員会(申請書の最終確認等)
1月:大分県へ意見書依頼(大分県知事へ依頼)
2月:ICID日本国内委員会へ提出
▽令和7年
4月:
・国内審査決定(英語版申請書類の作成)
・第3回実行委員会及び部会
5月:ICID日本国内委員会へ提出
9月:ICID国際執行理事会にて決定
(R7.シンガポール開催)
問合せ:農林整備課
【電話】63-4806
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