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第238回 郷土の植物(429)

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大分県竹田市

■サクラスミレ(スミレ科)
阿孫久見

丘陵地(きゅうりょうち)や低山地(ていざんち)の日当たりのいい草地(くさち)に生育(せいいく)する地上茎(ちじょうけい)のない高さ15センチほどの多年草(たねんそう)です。花茎(かけい)にはまばらに毛(け)があり、中ほどには小さな1対(つい)の苞葉(ほうよう)(花の下にある変形(へんけい)した葉(は))があります。3~4個の根生葉(こんせいよう)(茎(くき)の基部(きぶ)から出る葉)には、ふちに浅(あさ)い鋸歯(きょし)があり長い柄(え)があります。形(かたち)は長卵形(ちょうらんけい)で先(さき)は少(すこ)しとがり、基部は心形(しんけい)(ハート形)です。主脈(しゅみゃく)上(じょう)に沿(そ)って黒(くろ)ずんだ濃紫色(のうししょく)の斑(ふ)が入るものをチシオスミレといいます。春の頃ころ、スミレ特有(とくゆう)の形をした美しい紫紅色(しこうしょく)の径(けい)2・5センチほどの5弁花(べんか)を咲(さ)かせます。上弁(じょうべん)が特(とく)に大きく横(よこ)の側弁(そくべん)の内側(うちがわ)の基部には毛が密生(みっせい)します。また距(きょ)(花弁(かべん)の後方(こうほう)の一部が袋状(ふくろじょう)に突出(とっしゅつ)した部分(ぶぶん))は小さいです。
和名の由来(ゆらい)は、花弁の先端(せんたん)がサクラの花びらのように凹(くぼ)んでいるので桜菫(サクラスミレ)の名があります。しかし個体(こたい)によっては凹まないものもあります。
竹田では、久住高原のくぼ地(ち)の多少(たしょう)湿気(しっけ)のある場所(ばしょ)に稀(まれ)に観察(かんさつ)されますが、めったに自生地(じせいち)に出会(であ)えない希少(きしょう)植物です。大分県の絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)。花期(かき)は3月から5月です。

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