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八尾歴史物語 六十四巻

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大阪府八尾市

■河内名所図会を歩く(15) ~江戸時代の景観と古民家(後編)~

平野部の「つし二階」の古民家に対して、山麓(さんろく)部は「大和棟(やまとむね)」を中心としています。大和棟は、奈良盆地の周辺に多く分布していることからその名で呼ばれています。その特徴は、茅葺(かやぶき)の急勾配の切妻造(きりづまづくり)の大屋根とその下の短い瓦葺(かわらぶき)の屋根です。
『河内名所図会』では、前巻で述べたように民家の姿は簡略化されることが多いですが、現在の大阪府東大阪市と奈良県生駒市を結んだ暗越(くらがりごえ)奈良街道(かいどう)の暗峠(くらがりとうげ)(椋(くら)ヶ嶺(ね)峠)の挿絵では、峠付近に茶屋や宿屋が並ぶなか、大和棟とわかる建物が1軒だけあります。大和棟はステータスを示す象徴的な建物で、きっちりと描かれたのでしょう。
市内の大和棟は、およそ40軒が現存し、7割が山麓部にあります。東高野街道沿いの旧恩智村や十三街道沿いの旧神立村に多く残っています。
市内の現存するほとんどの大和棟が特徴である切妻屋根の茅葺をトタンなどで覆っていますが、5軒が茅葺を保持しています。屋根の葺(ふ)き替えが材料の茅や職人の不足などで難しくなっており、美しい茅葺の大屋根を有する大和棟の歴史的景観は貴重です。
(おわり)

問合せ:観光・文化財課
【電話】924・8555【FAX】924・3995

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