◆建築家 岸上純子さん
◇あなたの夢は?
・22世紀に残る商店街を設計したい
大阪駅北の高層ビル街から約10分。木造長屋が密集する一角に、中津商店街があります。全長約200m。覆いのないアーケードの鉄骨越しに、秋空が広がります。
中津商店街の中ほどの2棟を、岸上さんが夫と共同で営む事務所兼自宅として購入したのは2015年。シャッターを閉めた店が並んでいました。「学生時代、この辺にはよく遊びに来たので、寂れているのが気になっていて。私が拠点を作ることで盛り上げられたら、と考えたのです」
築100年を超す長屋を2年半がかりで改修。その様子を地域の人に見てもらい、交流しながら進めました。完成した事務所「SPACE SPACE」は全面ガラス張り。シャッターとは対極にある開放感です。休止していた商店会の再開にも動きました。17年の台風でアーケードのテントが破損。「危ないので何とかしませんか」と声を掛けました。19年夏、あえて骨組みを残してテントを撤去。商店街の中に高層ビルが姿を現し、日が差し込みました。
地域やPTAの役員など、いろいろな役を引き受けてきた岸上さんですが、それらの活動の中でも、建築家として何ができるかを常に意識しています。「まちづくりってソフト面によりがちですが、設計することが人をつなぐ。そこにはこだわります」。その先に、「22世紀に残る商店街を設計したい」と夢を語ります。
商店会を再開した時、42軒だった会員は57軒になり、残る空き家は1軒。レトロでおしゃれな店も増え、週末は若い人でにぎわいます。商店街に人を呼ぼうと月に1回、事務所前で屋台を開いてきましたが、「そろそろ役割は終えたかな」。次に考えているのは常設の立ち飲み店。隣の空き店舗を購入し、20年ぶりにシャッターを開けると、「多忙飯店」の看板が現れました。店名はそのままに、人が集い発信する場として、来春オープンをめざします。
◇北区の魅力は?
人も建物も新旧が混ざり合っている
SPACE SPACEのホームぺージ
【HP】http://www.spacspac.com
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