新旧様々な“推しスポット”がある北区!最新情報と共にお伝えします
■長柄橋の明倫観世音菩薩
場所:天神橋8-13
◇大阪大空襲で亡くなった400人を慰霊
天神橋筋を北へ進むと、淀川に架かる長柄橋の南詰に観音像が立っています。上空に時折、伊丹空港に向かう飛行機が姿を見せます。
昭和20年6月7日、第3回大阪大空襲で逃げ場を失った多くの人が旧長柄橋下の河川敷に避難。そこへ米軍機が爆弾を落とし、機銃掃射を加えたことから約400人が亡くなりました。多くは女性と子どもでした。戦後間もなく、遺族が供養のために建立したのが観音像。地域の人たちが大切に守り、毎年6月7日、近くの正蓮寺が法要を行ってきました。
今年の法要にも、近所の人や正蓮寺が併設する幼稚園と保育園の園児らが参加。渡島正教住職は「今、飛んでるのは平和な飛行機やけど、昔は爆弾を乗せた飛行機が飛んで来て、たくさんの人が亡くなったんやで」と語り掛けました。「数年前までご遺族も参られていました。体調を崩され、もうよう参りません、とおっしゃられて…」。遺族の思いをしっかり引き継いでいきたい、と話します。
◇弾痕の残る旧橋脚の一部を保存
観音像の横には「旧長柄橋弾痕」の銘板がはめ込まれたコンクリートの塊が置かれています。前面には大小二つの弾痕がくっきり。旧長柄橋の橋脚には、機銃掃射による多数の弾痕がありました。昭和58年に現在の長柄橋に架け替える際、住民の強い要望で橋脚の一部が保存されました。通勤通学の自転車やジョギングの人が行き交う橋のたもとで、観音像と共に悲惨な歴史と平和の尊さを伝えています。
・終戦から79年がたち、今の日本では戦争は遠いことのように感じるかもしれません。でも、争いはどこにでもあります。人によって考え方が違うのは当たり前。お互いを尊重して解決するにはどうすればいいか。そんなことを考える場所になればいいですね。
(正蓮寺住職 渡島正教さん)
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