ご自宅での暮らしに訪問看護師が寄り添います
病気の治療や介護が必要になっても、住み慣れた場所で自分らしく暮らしたい。そんな「在宅医療・在宅介護」を支える一員に、訪問看護師がいます。
主治医と連携しながら医療的ケアやアドバイスを行い、患者さんやそのご家族が、その人らしい生活が送れるようお手伝いしています。
■医師会立訪問看護ステーション 看護師 今堀美江(いまほりみえ)さん
▽訪問看護をされる中で、心掛けていることを教えてください
入院とは異なり生活の場に伺うため、まずは名刺を渡してご挨拶し、しっかりと気を引き締めます。技術面はもちろん、心のケアも大切にし、ご利用者様の言葉ひとつをとっても、本心なのか、周囲に気を遣って言っているのかなど、その思いを汲み取りながら、ご本人やご家族が快適で安全に暮らせる看護をめざしています。また近年では、ICT(情報通信技術)を活用した情報共有でタイムリーにチーム連携を図り、よりきめ細かいケアに取り組んでいます。
▽訪問看護をされてきて、印象的なエピソードはありますか?
たくさんあります。認知症のご利用者様宅で誕生日祝いを行い、後に病状が回復した際にご本人から「あの時はありがとう」と言ってもらったり、ご自宅での死後の処置に立ちあった際、「みんなが納得できる看取りができた」とご家族に感謝いただいたり。またある時、叱られた後で泣き腫らした顔のまま伺ってしまったお宅で、80代の寝たきりのご利用者様が「あなたは大丈夫やから」と励ましてくださった新人時代の出来事は今も心の支えです。我々もまた、利用者様に支えられながら看護に尽力する日々です。
▽今後、どんな看護をめざしていきたいですか?
少子高齢化における訪問看護師不足に対応するため、ご利用者様がなるべく自立した生活ができるような指導や助言に力を入れています。転倒リスク防止や誤嚥性肺炎の予防、心不全のリスクを減らす食事内容など、予防的な指導を強化。また、ご本人やご家族が望む看取りに至るまでの意思決定の支援や、災害時の自助・共助の必要性なども折に触れて伝えています。皆さんが安心して暮らせるよう、訪問看護の更なる質の向上をはかっていきます。
■訪問看護ステーション連絡会 代表 斉藤順子(さいとうじゅんこ)さん
私たちは「住み慣れた我が家で自分らしく過ごしたい」そんな思いを叶えられるよう日々訪問看護を行っています。不安に耳を傾け、寄り添い、安心して日常生活が送れるようにサポートしています。ご利用者様の年代は0歳から100歳代まで幅広い年齢層の方々に看護を提供しています。最近「家で最後を迎えたい」と望まれる方も増えてきました。ご本人、ご家族の意思決定の支援、地域でのサポート体制を共に考えながらすすめています。東淀川区には、訪問看護ステーション連絡会があります。訪問看護以外でも、「健康相談」や「健康教育イベント」など地域の各職種、団体と連携した活動も行っています。利用者中心の看護、多職種連携、地域社会に貢献できる働きを今後も継続していきたいと思っています。
■利用者の声
山本奈織(やまもとなお)さん(姉)
大西昭子(おおにししょうこ)さん(妹)
十数年前に、母がパーキンソン病に。症状の進行が予想されたため、周囲の勧めもあり、今後を見据えて訪問看護を利用することになりました。現在は週3回、訪問看護のサポートを受けながら、姉の私がフルリモートで自宅勤務をしながら母の介護をしています。つい先日まで母が誤嚥性肺炎で入院しており、家族の不安も大きい退院直後の2週間は毎日来ていただいたので助かりました。
ある時、痰が絡んで母の呼吸が乱れた際、家族で対応を試みたのですが上手くできずにパニックになってしまいました。21時で大雨だったにもかかわらず、すぐに看護師さんが来てくださり本当に感謝しています。今は意思疎通がほぼできない母ですが、それでも僅かな変化で機嫌が分かります。私も自宅で働きながら介護ができ、何より母自身、入院時より自宅にいる方が断然調子も良さそうなので有難いです。
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