浪速区制100周年プレ企画 ルッバック なにわ区(2)

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■かつての浪速名物だいがく
▽区長　今日は、上田さんが面白い写真を持ってきてくださいました。
▽上田さん　これは私が子どもの頃、夏祭りの時に撮ってもらった写真ですが、台舁　だいがく太鼓という変わった形の太鼓が写っています。

◇深ぼり　だいがく
敷津松之宮夏祭りのだいがくは、7月16日・17日に行われる浪速名物でした。江戸中期から存在し、高さ32メートル、重さ7500キログラムの巨大なもので、大人100人がかりでかつぎました。各町ごとに異なる飾りがあり、赤毛氈　もうせん　織物の天幕や豪華な刺繍で装飾されていました。
敷津松之宮のだいがく　写真左　とだいがく太鼓　写真右、提供　上田典子さん

▽区長　だいがくは提灯を吊るした山笠のことで、昔はもっと大きなだいがくを神社の夏祭りの時に大勢の人でかついで練り歩いたそうです。戦争でほとんどのだいがくが失われてしまったと聞きました。
▽松尾さん　木津村には6つのだいがくがあったと聞いています。今は、西成区の生根(いくね)神社にまだ残っていると聞いています。
▽上田さん　今まであまり意識していませんでしたが、私が子どもの頃はそのだいがくのミニチュア版をみんなで引っ張っていたんですね。
▽区長　そういうものが今では写真でしか見られないのは寂しい気がします。

■幻の折口信夫記念館
▽区長　次に、敷津にゆかりのある歴史上の人物についてお尋ねします。
▽松尾さん　国文学者の折口信夫はこの敷津地域の出身です。その碑が鴎町公園にありまして、公園の中にある老人いこいいの家をその記念館にしようと、地元でもだいぶ運動をしました。そうすると、敷津に記念館ができるという話が伝わって、全国から折口信夫の資料が送られてきました。それらを当時、折口の研究をし、連合会長もされていたかたのところに置いてあったんですが、そこが火事になって資料のほとんどが焼けてしまい、残念ながら実現しませんでした。

◇深堀り　折口信夫
折口信夫は、国文学者・民俗学者・歌人で、1887　明治20年に当時の西成郡木津村市場筋で生まれました。国学院大学を卒業後、2年半ほど府立今宮中学校　(現在の今宮高校)の教壇に立った後、国学院大学の教授となり、柳田國男の影響を受けつつ、自分でつかんだ民俗学を国文学に取り入れ新境地を開きました。市制70周年記念として碑が建立され、1983　昭和58年には十日戎(とおかえびす)の一文を刻んだ文学碑が建てられています。

▽米田さん　木津勘助は蔵破りをした盗賊ですが、みんなのためにそれをした人で、氷屋をしていた新野さんが中心になって、だいこく神社の北側に勘助の銅像を作りました。勘助のお墓は唯専寺にあります。

■若い世代の横のつながりの強さに期待
▽区長　当時の皆さんにとっては英雄ですね。
いろいろとお話を伺ってきましたが、最後にこれからの敷津地域に期待することを教えてください。
▽松田さん　敷津地域は難波や天王寺に比較的近い位置にありますので、難波や天王寺にないものができればまた、違ってくるように感じています。なにか特色が出せるとよいのですが。そういうものに期待したいです。
▽下野さん　敷津地域は大阪のド真ん中にあるので、発展はすると思います。店といえばフランチャイズばかりができています。これまで多くの商売人が敷津から出ていきました。まちは発展するけれど、定住してくれる人が減っています。
住み良いまちにしていくために、まちづくりを若い人たちに譲りたいと思っています。若い人は横のつながりがすごいですからね。そういう横のつながりが強い人たちに今後を期待しています。

■敷津地域年表
1810　文化7年　大阪代官篠山十兵衛景義の斡旋により市場開設を官許　だいこく主神社西北部一帯
1874　明治7年　のちの敷津小学校を唯専寺(ゆいせんじ)に創立
1881　明治14年　敷津小学校を木津市場内に移転
1911　明治44年　敷津小学校を現在地に移転
1915　大正4年　市電西道頓堀・天王寺線開通
1916　大正5年　市電難波・木津線開通
1938　昭和13年　地下鉄御堂筋線　難波-天王寺開通、市場を現在地に移転、木津卸売市場と改称
1942　昭和17年　地下鉄四つばし線　だいこく町-花園町開通
1945　昭和20年　爆撃により区域の約93パーセントが消失、区役所を敷津小学校に一時移転、終戦、敷津国民学校をだいこく国民学校に統合
1950　昭和25年　民間の大阪木津卸売市場として再開場
1953　昭和28年　敷津小学校が再開校
1965　昭和40年　地下鉄四つばし線　西梅田-だいこく町開通
1984　昭和59年　浪速図書館開館
1991　平成3年　戦災復興土地区画整理事業が完了
2010　平成22年　大阪木津卸売市場リニューアルオープン

問合せ：区役所　総務課　企画調整
【電話】6647-9683【FAX】6633-8270

この記事は、地域の語り部のかたがたの発言をもとに作成しております。歴史考証はしておりませんので、予めご了承ください。