■横溝正史の母校・大阪薬学専門学校
▽案内人
陸奥賢 むつさとしさん
観光家 コモンズ・デザイナー 社会実験者
名探偵・金田一耕助を主人公とする獄門島八つ墓村犬神家の一族などの推理小説で知られる作家・横溝正史 1902から1981 は神戸市東川崎の生まれですが、実家の生薬屋春秋堂を継ぐために大正13年 1924、日本橋5丁目にあった大阪薬学専門学校へ入学しました。横溝正史自伝的随筆集によると日本橋から実家の神戸まで千日前、道頓堀、心斎橋筋、堂島、梅田駅とずっと繁華街が続き、私たち数名の神戸組は毎日のように南から北へとむかってカフェからカフェへと飲みながら北上し、飲み代は薬専のドイツ語の教科書や参考書を古本屋に叩き売って工面したといいます。これだけ聞くと、まるで出来損ないの不良学生のように思われますが、じつは横溝は薬専を首席で卒業していて驚かされます。この大阪薬学専門学校はのちに豊中に移転し、戦後に大阪大学医学部薬学科となりました。
大正時代の大阪薬学専門学校 出典 大阪大学五十年史
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