■通天閣の先輩。知られざる望遠楼 大林高塔
新世界名物といえば通天閣ですが、実は通天閣以前に望遠楼こと通称大林高塔というタワーが建っていたことはあまり知られていません。明治36年 1903年に開催された第五回内国勧業博覧会の際に大林組が建設した高さ150尺 約45メートルの木造で、電気昇降機 エレベーターで約1分で頂上に達しました。当時は高層建築物が少ない時代なので余りの高さに気の弱い婦人方は忽ち眩暈のもとなれば先ず二階辺にて我慢さるべし 明治三十六年博覧会之栞 なんて注意書きも残っています。大阪へいやが一望できて大人気でしたが、入場料は15銭で博覧会の短期間だけでは収益が上がらずに赤字でした。この博覧会跡地に明治45年 1912年遊園地新世界ルナパークが開業し、通天閣が建てられます。これ 大林高塔がヒントとなり、のちに通天閣がたてられたと大林組八十年史にありますが、まさしくおおばやし高塔こそは通天閣の先輩タワーといえるでしょう。
望遠楼・大林高塔 出典 第五回内国勧業博覧会紀念写真帖
案内人:むつさとし さん
観光家 コモンズ・デザイナー 社会実験者
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