◆問2 ネットいじめ、どちらが典型的でしょうか? (1)死ね死ね死ね (2)あの子、最近調子乗ってる…
もちろん、どちらも存在します。「典型的」がキーワードなのですが、時代によって変遷しています。今、研究としてまとめている途中ですが、平成24年頃を境に(1)から(2)に移った印象です。
平成24年以前は、「プロフ」や「ホムペ」と呼ばれる「学校裏サイト」等で、匿名で「死ね」「殺すぞ」等の言葉で個人攻撃をするケースが多かったです。平成24年以降になると、LINE等で「あの子、最近調子乗ってない?」等、誰のことを言っているのかはっきりしない投稿でのいじめが増えてきています。子どもたちに何が起きているのでしょうか。
他にもいろいろな要因があると思いますが、私が注目しているのは、「スマホの登場」です。このころから、子どもたちはiPhone等のスマホを持つようになりました。スマホは子どもたちの日常を大きく変え、ネットいじめにも大きな変化がありました。
スマホ以前のガラケー時代は、子どもたちは、モバゲー、グリー、2ちゃんねる等で情報交換していましたが、そこでは匿名性が担保されていたので、匿名で悪口を書くことが簡単にできていました。
しかし平成24年以降、子どもたちのネット上での交流はLINEが一般的になりました。ここでは、自分の名前を明かしたうえでの発言なので、「死ね」等と書くと、あとでトラブルになってしまいます。いじめている場面を証拠として晒すことになるため、慎重な彼らは自粛するのです。
◇子どもたちの変化
平成24年頃、高校生がスマホを持ちはじめました。先の調査で、子どもの過半数が専用スマホを持ちはじめる年齢が下がってきていることもわかっています。令和2年は12歳だったのが、令和3年には11歳、令和4年10歳、令和5年10歳…。10歳というのは小学5年生です。小学5年生の過半数がスマホを持っているのです。
私たちの社会は、なんとなくですが、「子どものスマホ対策は中学校からでいいだろう」という雰囲気があります。しかし、このデータからも小5ではある程度、対策が完了していなければいけないことがわかります。「小4に完了…。」
私は、文部科学省「生徒指導提要」の改訂に関わった関係で、この種の研修等を担当することが多いのですが、残念ながら、小学校の先生方のこの問題への意識は、低い状況であるのが現実です。
では、学校ではこの問題に対してどんな対策をしているのでしょう。学校での対策は、「専門家を呼んでの講演」等が多いです。私や私の研究室の学生も「専門家」として学校で講演しますが、保護者の参加も可能であっても、そこへの保護者の参加はかなり少ないです。「大学の先生の話をわざわざ聞かなくても、私たちもスマホを使っているから大丈夫」というのです。
実際、子どもたちの利用方法と大人の利用方法は全く違っていて、子どもたちの利用には特別の知識やスキルが必要です。子どもが幼い間は、フィルタリングやスクリーンタイムなどで子どもの利用を制限することも可能ですが、思春期を迎えると親の言うことを聞かなくなります。その時期にトラブルに遭い、にっちもさっちも行かなくなった例を私はたくさん知っています。
◇相談できる大人であること
一番重要なのは、困ったときに相談できる大人が側にいることです。ネット社会だからこそ、アナログでの対応が必須です。そのためには大人も状況をしっかり把握しておく必要があります。「ネットいじめをするのは、ドラえもんの登場人物では誰?」と聞くと、大人は「ジャイアン」と答えますが、子ども(特に女子)は「しずかちゃん」と答えます。「だってしずかちゃん、女の子の友達いないでしょ?」
子どもたちとネットについて話す機会をつくりましょう。試されているのは私たち大人です。
◆お父さんお母さんへ 子育てはひとりで悩まず、気軽にご相談を
子どもの様子がおかしい…、子どもがいじめられているかも…、でも、どう対処すればいいかわからない。そんな時は、ひとりで悩まず相談してください。
大阪市では、面談、電話、メールにより、不登校やいじめ、学習、行動などの教育に関わる相談を行っています。
◇面談による相談
教育相談員の面談(要予約)
対象:市内在住の年長児〜18歳未満の児童・大阪市立学校に在籍する児童およびその保護者
申込:電話にて
(1)来所教育相談 不登校、いじめ、学習の遅れ等の相談
相談場所:中央こども相談センター
(2)出張教育相談 不登校相談
相談場所:市内12か所の出張相談場所
メールでもご相談できます
詳しくは本紙QR参照
申込・問合せ:中央こども相談センター 教育相談グループ
【電話】4301-3181(月~金9:00〜17:30)
中央区森ノ宮中央1-17-5(令和7年3月上旬から浪速区浪速東1-1-90に移転)
◇電話での相談(匿名相談)
・電話教育相談
不登校、いじめ等、こどもの教育に関する問題について ご相談をお受けします。
保護者専用:【電話】4301-3141
こども専用:【電話】4301-3140
(どちらも月~金9:00〜19:00)
・24時間子どもSOSダイヤル
こどもの「SOS」に悩むこどもや保護者のご相談をお受けします。
【電話】0120-0-78310(なやみ言おう) ※24時間365日
◇子どものスマホ利用について詳しく知りたいときは…
「話し合っていますか?家庭のルール」
文部科学省が作成した、子どもが安全にインターネットをするためのルールがまとめられたパンフレットです。文部科学省ホームページのほか、区役所でパンフレットの配布もしています。
文部科学省ホームページ(本紙QR参照)
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