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ひと物語 vol.81

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大阪府寝屋川市

人里離れた奈良の宿坊〝鬼の子孫〞が守り継ぐ
小仲坊住職 五鬼助義之(ごきじょよしゆき)さん(80歳・末広町)

約1300年前に鬼が住みついたと伝わる、その名も奈良県下北山村の前鬼(ぜんき)。ここで生まれ育った五鬼助義之さんは自ら「鬼の子孫」と名乗り、妻の三津子さんと山伏などの行者を支える宿坊を守り続けてきました。
寝屋川市から車で3時間半。国道から林道に入り、約10km上ると、山の中腹に石垣が築かれた平らな場所に着きます。6月の日曜日、人里離れた前鬼集落で奉納祭が開かれ、山伏や村の人たちでにぎわいました。

■〝鬼の里〞の最後の宿坊
この地は山岳信仰・修験道(しゅげんどう)の開祖、役小角(えんのおづの)に仕えた鬼の夫婦の子ども5人が暮らした〝鬼伝説の里〞です。その一人の名前が義之さんの祖先に当たるという五鬼助。「開祖の教えに従ってそれぞれが宿坊を建て、代々、山伏たちのお世話をしてきました」。
しかし、明治5年の修験道廃止令で行者が激減。昭和40年頃までに4軒の宿坊が集落を去り、五鬼助家の「小仲坊(おなかぼう)」だけが残りました。

■54歳で61代目当主に
前鬼集落は役小角が開いた修行の道「大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)」のほぼ中間にあります。義之さんは6歳のときに隣村の伯母の家から小中学校に通学。「林道はまだなく、弁当持参で3つの山を越え、1日がかりで麓の村に下りました」。
父親の義憲さんが52歳の若さで亡くなったのは大学生のとき。義憲さんの叔父や弟が宿坊を守ってくれましたが、「4人きょうだいの長男。小さい頃から宿坊を継ぐものと思っていました」。結婚前には2人で前鬼を訪れ、「いずれはここに帰らないといけない」と話すと、三津子さんは「はい」と返事。宿坊を継いだのは54歳のときでした。

■開祖の教え守り継ぐ
五鬼助家には家系図が残っており、195歳まで生きたという初代から数えて義之さんが61代目。共働きのため、週末に通う生活が始まりました。築500年を超える母屋や行者堂が立ち、電話はありますが、電気は自家発電。湧き水を引き、宿泊所は登山者がいつでも利用できるように平日も開けています。
世界遺産にも登録された80kmに及ぶ大峯奥駈道には靡(なびき)と呼ばれる修行の場所が75か所にあり、29番目に当たる前鬼の小仲坊には年間約150人の行者が宿泊。「私たちの祖先である鬼の子孫たちが1300年もの間、役小角の教えを守りつないできたのです」。義之さんの長男である義峰さんも「伝統を守っていきたい」と話し、鬼の里の宿坊は次の世代にも受け継がれていきます。

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