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自治体の皆さまへ

ふるさとねやがわ 第61回

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大阪府寝屋川市

柳生の里に〝単身赴任〟
コスプレ受け入れ活性化

柳生茶屋店主
黒田(くろだ)篤史(あつし)さん(50歳)

剣術の「柳生新陰流(やぎゅうしんかげりゅう)」発祥の地で知られる奈良市の柳生地区。人気アニメ「鬼滅の刃(きめつのやいば)」の名場面を再現できる撮影スポットとして脚光を浴び、柳生観光協会の事務局長も務める黒田篤史さんはいろいろなアイデアで新たな観光客や移住者など、地域にかかわる人々の呼び込みに取り組んでいます。

■「田舎に住み支援したい」41歳で会社員から転身
JR奈良駅から車で約30分。柳生藩の陣屋敷跡などが残る〝柳生の里〞は、奈良市東部の京都府と隣接する山間にあります。
これまで旅行やコンサルタントの会社に勤務。各地を訪れる中で「地域の活性化のため田舎に飛び込んで支援したい」と思っていたときに過疎化が進む奈良市東部の地域おこし協力隊の募集を知りました。平成26年9月、寝屋川市の自宅に家族を残して単身移住。41歳のときでした。

■初仕事はホームページの開設 引き継いだ食堂は交流拠点
歴史ファンに人気の剣豪の地も観光客は年々減少。まず手掛けたのは観光協会のホームページの開設でした。SNSや動画配信サービスでも発信しました。
新たな事業も打ち出し、地元で数少ない食堂「柳生茶屋」の運営もその一つ。「前オーナーが亡くなり、店を閉めると地域観光にも影響するので」後継を引き受けました。週3日の営業ですが、ワークショップなどに利用できる観光交流拠点も兼ね、旅行会社の支店も開設し自ら支店長に。廃校の中学校などを活用したイベントや旅行企画も行ってきました。

■「里山暮らしを体感して」自宅を民泊施設に
協力隊の任務を終えた翌年の30年には自宅の空き部屋などを有料で提供する民泊が解禁になり、「里山暮らしを体感してもらおう」と日本家屋の自宅を民泊施設「奈良柳生邸」として開業。2階の3部屋でスタートしました。
地域をじっくり知ってもらう〝お試し移住〞も実施。「東京などからの問い合わせも多く、移住がかなうようにサポートしていきたい」。

■アニメ人気でコスプレ聖地に コロナ禍前より観光客増える
柳生茶屋の近くから山道を上がると、真っ二つに割れた巨石の「一刀石(いっとうせき)」が出現。元々、人気のスポットですが、「鬼滅の刃」の名場面に登場する巨石に似ていると話題になり、コスプレ写真を撮りたいとの問い合わせが相次ぎました。
そこで「移動時は刀を袋に入れる」などのルールを作り、許可を取れば自由に撮影できる11か所のスポットも整備。着替え場所に奈良柳生邸を提供し、3年前から受け入れると、コロナ禍前より観光客が増えました。

「自然豊かな里山風景と日本古来の文化や風習が残っているのが柳生の魅力」と黒田さん。「ワーケーションで海外からも来てもらえる仕組みや、移住希望者を対象にした体験施設の整備にも取り組みたい」とアイデアは尽きません。

◇私とふるさと
結婚した28歳のとき、同じ京阪沿線の大阪市内から妻の実家がある寝屋川市に転居しました。それまで寝屋川市のことはあまり知らなかったのですが、電車だと大阪市内から意外に近く、便利で住みやすい街だと思いました。
30歳代で寝屋川ハーフマラソンに3回ほど出場し、ランニングの練習で自宅から打上川治水緑地までよく走っていました。
柳生や寝屋川市の自宅のほか、大阪や岡山での仕事もあるなど多拠点での生活が続きます。

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