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ふるさとねやがわ 第68回

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大阪府寝屋川市

■コメどころで研究20年
暑さに強いコシヒカリ開発

新潟大学特任教授
三ツ井 敏明(みつい としあき)さん(65歳)

夏の猛暑やフェーン現象の影響でコメの品質低下が心配される中、暑さに強い新品種「新大(しんだい)コシヒカリ」を開発。国内有数のコメどころの新潟で、約20年にわたる研究の成果が注目されています。

◇「すごくラッキーでした」コメどころの新潟大に赴任
高校で化学の面白さを知り、その理由を「よくある話ですが、先生に褒められて」と笑います。立命館大学の化学科に進み、名古屋大学の大学院でイネのデンプンの分解と酵素にかかわる研究で農学博士に。昭和61年に新潟大学に赴任すると、教授に「自由にやっていいよ」と言われて大学院からの研究を続け、「すごくラッキーでした」と振り返ります。

◇猛暑で白くなるコメ 遺伝子レベルで原因解明
イネの穂が出る夏の成熟期に高温が続くとコメ粒が白く濁ったようになり、品質が低下します。新潟でも平成12年頃から高温障害の問題を耳にするようになったといい、「お米ができるときに、アルファアミラーゼという酵素が悪さをするのでは」と考えました。
そこでコメに蓄えられたデンプンの合成と分解のバランスに着目。高温に強い酵素の働きでデンプンが分解されて白濁することを遺伝子レベルで解明し、酵素の働きを抑えると白濁が減ることを突き止めました。

◇「農家の誇り感じて」〝新大コシヒカリ〟開発
「高温でコメがなぜ白くなるのか」という学術的な興味でスタートした研究でしたが、農家の人たちと話をするうちに新潟コシヒカリへの強い誇りを実感。「地元に役立つ研究をしたい」と取り組んだのが、暑さに強いコシヒカリの開発でした。
他の品種との交配や遺伝子組み換えの方法を使わず、高温でも白濁化が少ないコシヒカリの改良に成功。4年前から実証栽培を行ってきました。特に昨年は8月の平均気温が30度を超える猛暑と少雨に見舞われましたが、「従来のコシヒカリより品質がよく、味も申し分ないコメができました」と胸を張り、一般販売で全国デビューも果たしました。

◇「環境に優しいコメ作りを」温暖化ガス抑える研究も
今年3月に定年退職し特任教授に就任。田んぼで発生する温室効果ガスのメタンを抑える栽培方法の開発や、塩害に強い品種作りなど研究テーマは多く、「新大コシヒカリが持つ様々な能力を引き出し、環境に優しいコメ作りを進めたい」と挑戦はまだ続きます。

◆私とふるさと
寝屋川市には2、3歳まで住んでいて、あまり記憶がないのですが、私が生まれ、両親が育ててくれたまちを考える良い機会となりました。
今回のことをきっかけに寝屋川市を訪れ、いろいろなところを散策したいと思っています。特に水田ですね。新大コシヒカリに興味がある農家の方がおられれば、お話したいです。

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