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ひと物語 vol.90

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大阪府寝屋川市

■映画も手掛け二刀流
CMディレクター 西岡 眞博(にしおか まさひろ)さん(61歳・仁和寺本町)

今春、福井県内に延伸した北陸新幹線のテレビCMを手掛け、開通を喜ぶ地元の歓迎ぶりを演出しました。映画監督として長編作品も制作。2つの顔を持つ映像クリエーターとして活躍しています。

◇30歳のときにフリーで独立
22歳のときにテレビ番組が作りたくて制作会社に入りましたが、テレビCMの魅力にとりつかれ、4年後にCM制作会社の設立に参加しました。時代はバブル絶頂期。仕事に追われ、自宅には着替えを取りに帰るだけ。ホテル暮らしが続きましたが、会社の解散を機に30歳でフリーのCMディレクターとして独立しました。
企画と演出が主な仕事。どのような内容にするかを考え、複数の企画を提案しますが、「魔法のようにポッと浮かぶわけでなく、何をしていても常に頭の中で考えています」。これまで出した企画案は1000を超えますが、「実際に放送されたのは1割程度かもしれません」。

◇北陸新幹線延伸のCM演出
ほかの人が考えた企画も演出します。北陸新幹線延伸のCMはかなり大掛かりな仕事でした。昨年10月の試験走行に合わせて行われた撮影には、地元の魅力や熱気を伝えようと1300人を超える県民がエキストラで参加。駅や沿線の約20か所と走行車両にスタッフを配置するなど「事前調整や内容の組み替え作業に相当苦労しました」。
制作期間中に大阪と北陸を往復すること15回。手や小旗を振って開通を喜ぶ人々や歓迎する温泉旅館の女将たちの姿を収めた1分と15秒の4種類のCMが完成し、「ダイナミックで演出家冥利に尽きる仕事でした」。

◇コロナ禍で初の長編映画制作
その一方で「自分の思いを表現できる映像を撮りたい」という気持ちが年々強くなり、初の長編映画の題材に選んだのが、家族の崩壊と再生を描いた『泥の子と狭い家の物語』でした。数年前に見た同名の舞台演劇で、その日の手帳に「現代社会が抱える問題のオンパレード。映画にしてみたい」と書き留めました。
コロナ禍だった3年前、映画化の企画案が文化庁の補助事業に選ばれたことが実現へのきっかけとなりました。「登場する誰かに感情移入できるようにキャストを再設定。映像化するとハリウッド並みの制作費がかかるスペクタクルな場面を違う場面に入れ替える工夫もしました」。

◇映画祭で新人監督賞に
ロケは大阪市大正区で行い、家族が暮らす〝狭い家〟は神戸市内の空き家を借りました。女子高校生役で主演を務めた織田ひまりさんは当時中学校3年生。「午後8時までしか活動できず、光が入る窓を幕で覆うなどして夜の場面を撮りました」。
作品の大きなテーマは同調圧力。「どんな環境でも自分の意見を持ち、個性を伸ばすことが出来る社会になってほしいとの思いを込めました」といい、令和4年12月から全国で上映されました。また、9月20日から4日間、大阪市のマテリアル谷町で再上映されます。

「念願かなって映画監督の仲間入りができました」と話し、アメリカ・シアトル映画祭で新人監督賞を受賞。11月に開催される岡山映画祭の招待作品にも選ばれました。2作目の『ハミンンンンンング』も公開済み。「今度は全く違う映画を撮りたい」と早くも次回作の構想を練っています。

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