■市民後見人座談会「必ず自分にも役に立つ。それを今、実感しています」
・菖蒲直美(しょうぶなおみさん)
令和5年5月から活動開始。
・濱谷泰文(はまたにやすふみ)さん
平成29年11月から活動中。
・辻栄子(つじえいこ)さん
仕事をしながら昨年4月まで約6年間活動。
▽市民後見人になろうと思ったきっかけは?
辻:職場の異動で福祉関係の部署に配属になったんです。福祉関係は初めてで、もっと勉強して知識を得たいと思っていた時に、広報紙に市民後見人養成講座の案内が載っていて応募しました。
濱谷:サラリーマンを60歳で定年退職後、障害者施設でアルバイトをしました。母親と二人暮らしの知的障害者と接する中で「もしお母さんが亡くなったら、この子はどうなるんやろう」と心配になりました。そんな時に市民後見人のことを知り、これなら自分でもできるんじゃないかと養成講座を受けたのがきっかけです。
菖蒲:私は介護老人保健施設や障害者施設の生活支援員をしています。働いている中で市民後見人養成講座の案内を見て、そんなに離れた世界ではなかったので、自然な形で「受けてみよう」となりました。
▽困ったこと、苦労していること
濱谷:私が担当している人は、自分から話すタイプではないので、話を繋(つな)ぐのが大変です。はい・いいえで答えられる質問ではなく「何がしたい?」「何が食べたい?」と本人の言葉が聞けるような質問の仕方をするよう心掛けています。
辻:私が担当した人は、高齢の無口な男性で、まず顔を覚えてもらうことから始めました。どうしたらコミュニケーションがとれるのか、本人のやってほしいことを聞き出せるのか、日々必死でしたが、だんだんコミュニケーションがとれてきて、私や家族のことまで気遣ってくれるように。身内に近い存在になれたと感じて嬉しかったですね。
▽ボランティアだから続けられる
濱谷:「無報酬で活動できるエネルギーはどこからくるのか」とよく聞かれますが、青少年指導員や民生委員の経験から、ボランティアには何の抵抗もありません。ボランティアの方がざっくばらんに被後見人と会えますし、ど素人ですから(笑)。日々勉強させてもらっています。
辻・菖蒲:本当にこちらがお金を払わないといけないくらい(笑)。これでお金をいただいたらできません、プレッシャーになります(笑)。同じ目線で対等にお話できるのがいいんです。
▽市民後見人になりたい人へ
濱谷:講座で学ぶのは、福祉・介護・認知症など生活に役立つことばかり。自分も認知症になるかもしれないし、家族や周りの人がなるかもしれない。今、知人が認知症になり、自らの経験が役立っているのを実感しています。後見人をしているおかげで、今すべきこともわかるし、今後どうなっていくのかも想像がつきます。将来、必ず役に立ちますよ。
辻:被後見人が亡くなるまで活動を続けることに自信がなく、一歩を踏み出せない人がたくさんいると思いますが、体調不良になったら交代もできます。府社協※2、市社協※3もしっかりサポートしてくれます。言えるのは「やってよかった」の一言です。仕事をしながら、限られた時間で忙しい時もありましたが、被後見人さんにはパワーをいただきました。
菖蒲:今日、書類を家庭裁判所に出してきたんですが、書類は府社協、市社協がチェックしてくれますし、心強い専門相談もあります。私も「これは私がしてはいけない」とか「これはしてあげてもいい」などの判断を見直しながら一歩ずつ進んでいこうと思います。
濱谷:私のような高齢者が元気に毎日を送る秘訣は「今日も行くところがある」「今日も用事がある」こと。自転車で活動するのも自分の健康管理になっていて、被後見人さんには感謝しています(笑)。
※2 大阪府社会福祉協議会
※3 岸和田市社会福祉協議会
■チーム支援で市民後見人をサポート「同じ地域で暮らす市民目線こそが必要」
▽市民後見人は、身近な存在として被後見人を支える重要な役割
社会福祉士 小尾智恵子(こびちえこ)さん
私たちのような所謂(いわゆる)専門職後見人も、定期的に被後見人宅を訪問するよう心掛けていますが、なかなか頻繁には会えません。その点、市民後見人は週に1回と頻繁に会っているからこそ、親族に近い関わりで信頼関係が築けます。市民後見人にしかできない活動で、その人の生活を支える重要な役割を担ってくれていると思います。成年後見制度は、市民後見人あっての制度。「やってよかった」と思ってもらえるように、社会福祉士の立場で、身上保護などきめ細やかにサポートします。
▽「専門相談」で市民後見人の不安を解消
大阪府社会福祉協議会権利擁護推進室長 堤添隆弘(つつみぞえたかひろ)さん
弁護士や司法書士、社会福祉士が常に活動に関わっています。専門家によるサポートは、市民後見人の皆さんにとって非常に頼りがいがあると思います。実際、後見人経験者の専門家の助言は説得力がありますし、皆さん「よくわかる、安心する」と仰っています。
手厚いサポートで支えますので、安心して後見活動に取り組んでほしいと思います。
▽「丁寧に、密に」それが市民後見人の強み
岸和田市社会福祉協議会事務局次長 大川浩平(おおかわこうへい)さん
制度を必要とする人が年々増える中、後見制度の支え手として、また、地域福祉活動の担い手としても、市民後見人は貴重な存在です。皆さん、身近な地域住民の立場で、丁寧にきめ細やかに活動されていて、それがまさに市民後見人の強みです。
被後見人に寄り添い、楽しみながら後見活動している市民後見人を見ていると、そういう人をきっちりサポートし、また新たな市民後見人を育成して活動できるように繋げていくことが私たちの役目だな、と感じています。
■市民後見人になるには、まずこれ!
令和6年度大阪府市民後見人養成講座オリエンテーション
「市民後見人養成講座」(9月~翌2月開催)を受講するための事前説明会です。市民後見人に興味のある人、市民後見人の活動報告を聞いてみたい人は、ぜひ参加してください。
日時:6月29日(土)午前10時~正午
場所:opsol福祉総合センター(野田町1丁目)
問合せ:大阪府社会福祉協議会権利擁護推進室
【電話】06-6764-7760
問合せ:福祉政策課地域福祉推進担当
【電話】072-423-9467【FAX】072-423-8686
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