岸和田城天守は昭和29年に再建され、今年で再建70周年を迎えます。文化財として重要であるとともに、市民に愛される存在ですが、岸和田城は今、耐震面などで危機に瀕(ひん)しています。
今号では、まちのシンボルを守り、後世に残すためのリニューアルオープンに向けた取り組みなどを紹介します。
■教えて!岸和田城の歴史
▽1597 慶長2年
豊臣秀吉の叔父である、小出秀政が天守を築く
▽1827 文政10年
落雷により焼失
▽1954 昭和29年
再建し図書館として利用
▽1976 昭和51年
歴史的資料を展示
▽今も昔も、市民に愛される岸和田城
天守焼失後、昭和初期に千亀利(ちきり)公園が整備されると天守再建の声が上がりました。しかし、資金調達が難航したため、内部を図書館として利用することで国からの支援を受けることができ、天守再建が実現しました。
現在は「お城まつり」やライトアップなどを行い、春は桜、秋はだんじりと地域特有の素晴らしい景色を楽しむことができ、一年を通じて市民に縁のある場所となっています。これからも市民に親しまれ、長く存在し続けることが望まれます。
■岸和田城がピンチ!
▽岸和田城のいま
展示スペースには、府指定有形文化財である平安時代後期に作られたと伝わる「阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)」(写真(1))や岡部家藩主が着用した甲冑(かっちゅう)「紫糸威伊予札四枚胴具足(むらさきいとおどしいよざねよまいどうぐそく)」(写真(2))などを展示しています。また、天守からの眺望を意識し、作庭家・重森三玲が設計した「岸和田城庭園(八陣の庭)」(写真(3))は、その芸術性などが評価され、国の名勝に指定されています。
※写真は本紙をご覧ください。
▽岸和田城をリニューアル
令和元年に天守閣耐震診断を実施したところ、「震度6強以上の大地震発生時、倒壊または崩落の危険が高い」という結果になりました。近い将来、発生が予想される南海トラフ巨大地震などに備えるため、耐震補強が必要です。また、天守内は階段や段差が多く、全ての来場者が安心・安全に利用できる観光施設となっていないため、バリアフリー化を進める必要もあります。
天守には岸和田城庭園(八陣の庭)を上から眺望するという重要な機能があります。その機能を維持し、今後も市の発展に寄与する施設として後世に残していくため、今年1月に「岸和田城天守閣耐震対策基本計画」を策定しました。今後は計画に基づき、リニューアルを進めます。
◆リニューアルの内容
▽耐震補強(令和11年度予定)
天守内に鉄筋コンクリートの補強壁を設置するなどし、耐震性能を高めます。
▽バリアフリー化(令和11年度予定)
エレベーターや階段昇降機、スロープを設置し、車いす利用者なども安心・安全に見学できるようにします。
▽展示物の移動(令和9~11年度予定)
耐震補強とバリアフリー化に伴う展示スペース縮小のため、実物資料展示は多聞櫓(たもんやぐら)・隅櫓(すみやぐら)と二の丸広場観光交流センターで実施します。
▽天守の新たな活用(令和12年度予定)
市や岸和田城、八陣の庭、観光、文化などに関するパネル展示や映像放映を実施予定です。
◆クラウドファンディング・ふるさと寄附
岸和田城リニューアルのため、クラウドファンディングとふるさと寄附を今年度から実施予定です。
まちのシンボルを守るため、ご協力をお願いします。
■4月1日(月)~15日(月)お城まつり
期間中の土・日曜日は午後8時半まで夜間開場し、岸和田城庭園(八陣の庭)をイルミネーションで彩ります。また、恒例の青海波(せいがいは)体験や野点(のだて)・邦楽演奏、ステージイベント、物産展とキッチンカーなどのイベントも開催します。
▽こども万博(小雨決行)
大阪・関西万博を見据えたイベントを、二の丸広場(岸城町)で開催します。
■岸和田城再建70周年記念イベント
今年の春夏秋冬それぞれの時季に、再建70周年を記念したイベントを開催予定です。詳しくは市ホームページなどで随時お知らせします。
問合せ:観光課
【電話】072-423-9486【FAX】072-423-2384
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