●お客様に「もっと」を届ける
市長:「好き」を仕事にする上で翼さんが大事にしていることはありますか?
翼:お仕事として舞台に立つというのは、お客様にお金を払って見ていただくということです。お客様は同じ値段を払って見るなら「もっとすごいものを見たい」と考えます。その「もっと」を客席に届けられるように考えるのが私たち演者の大切な仕事なんです。
市長:どんな「もっと」をどうやって届けるかは、演者それぞれが考えていくものなんですか?
翼:もちろん先輩方の背中から学ぶこともありますが、そこから得たものを噛み砕いて自分なりに解釈していくことでその人の色になります。誰かから言われた通りに演じるのなら、その人が演じる必要はない。表現の世界は個人の意思が大事なんです。舞台は演じる人、演じる回によって違います。それが生の舞台の楽しさだと思いますね。
■夢追う二人×翼和希さん
市長:ここからは枚方市少年少女合唱団のお二人にも参加していただきます。鈴江陽菜さんは卒団後も団のサポートを続けておられ、横山舞さんは現役団員として活躍されています。よろしくお願いします。
鈴江・横山:よろしくお願いします!
翼:実は、昨年の8月に大ホールで行われた枚方市少年少女合唱団の定期公演にもお邪魔しました。こんな大きな舞台で立派な照明や大道具・小道具を使って表現できる場があることは素晴らしいことだと感じました。
市長:本当にそうですね。二人は小学5年生のときに入団したとお聞きしました。大人になるとプレゼンなど人前で発表する機会が増えるので小さい頃から人前で表現することに慣れているのは良いことですね。二人はどうして合唱団に入団し、どんな経験をされてきたんですか?
鈴江:私は演劇に興味があって、枚方市少年少女合唱団では合唱だけでなく演劇もできると聞いて入団しました。中学3年生でベルサイユのばらのマリーアントワネット役を経験したんですが、ソロパートが多く、観客の視線が自分に集中する中、自分の演技だけでお客さんを楽しませることが難しいと感じました。
市長:その難しさはどうやって克服したんですか?
鈴江:とにかく練習しました。当時の自分にできることはそれしかなかったので。
翼:十分すごいことですよね!中学3年生の私ならできなかったと思います(笑)
市長:翼さんも鈴江さんと同じような経験はありましたか?
翼:私も感じたことはあったと思います。今はお客様に何を届けられるか、どんな気持ちになってもらいたいかということを考えています。ただそれには目をつぶってても歌える、踊れるまで練習をして自信を持って立てるようにお稽古することが大事ですね。
市長:そこが本当にプロフェッショナルなところですよね。横山さんはどうですか?
横山:私は人の中に入っていくのが怖い時期がありました。そんなとき合唱団で、団員同士が息を合わせることでより良い演技ができるということに気づき、コミュニケーションの大切さを学びました。私もベルサイユのばらのオスカル役を演じたんですが、お客さんに見てもらえる幸せを知って、今後も演劇に携わっていきたいと思うようになりました。
市長:舞台が自分の居場所だと感じたんですね。
◇大事なのは集中力、向き合うべきは自分
市長:鈴江さん、横山さんは今後も芸事の世界を目指して活動されると聞いています。お二人から翼さんに聞いてみたいことはありますか?
鈴江:私は合唱団の活動を通じて舞台演者という夢を見つけました。現在は事務所での活動が始まり大学との掛け持ちで忙しくなりました。翼さんは忙しい時、どうやってモチベーションを保っていますか?
翼:やりたいことに一生懸命になれるのは大事なことです。お二人ともきっと集中力は人一倍あると思うので、自分を信じて授業・芸能それぞれ目の前のことに集中してメリハリをつけると良いと思います。それと、合間合間に何も考えずぼーっとする時間もあると良いですよ。
横山:私は他の人と比べられた時どう受け止めればいいか分からなくて。翼さんはそんな時どのように受け止めていますか?
翼:まず比べられても「自分とその人は違う」と思うようにしています。もし、自分に足りないものがあると思うなら他人とではなく自分と向き合って努力すべき。比較された時に自分を卑下せず、比較した人に「自分の引き出しを増やす肥やしになった、ありがとう」と感謝すれば良いと思います。
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